ジ・コントローラーZERO 第10話『失敗』

僕とウサーマは銃を突きつけられ、そのまま安宿に監禁された。






顔を合わせる瞬間まで、話せばわかる思っていたし、なんとかなると信じていたが…



残念ながら相手は交渉のテーブルにも立ってくれなかった。




「ジョー、大丈夫か?」



「…すみません。もう少しまともに話を聞いてくれると思っていたのですが…」



「うん…彼らも戦争は避けたい筈なんだが…」





少し前の祖父の質問が、頭をよぎる。




「初めて会うような関係性の無い人間を賛同させるにはどうしたらいいと思う?」



「正論…正しい事を言う?」




「エクセレント! その通りだ。何故だと思う?」



「普通にモラルがあればそれが正しい事かどうかはわかりますから、ならば共感を得やすいのでは。逆に言えば各人の論理は、立場や気持ちを理解できるまでは賛同できないから不特定多数の人間を同調させる事は難しいかと…」



「フフ…そうだな。正論は“社会論”“大義”“筋”とも言う。大方の人間が持ち合わせているパーツで作られた理論だけに、賛同を得やすい。ただし、視野の狭い人間には通じないぞ。各人の個別論理で全てを押し通そうという相手にはな」




僕は甘かった。




初陣とも言うべきこの交渉で、大失敗をしてしまった…。



どうすれば良かったか?



残念ながら答えは浮かばない。




「ウサーマ、ちょっと来い」



アシュラフが相棒を連れ出す。



どういうやりとりが行われるのか…





ウサーマは五分で戻ってきた。







「なんでした?」



「君を監禁して身代金をとると言ってきたんだが…」



「僕にそんな価値はないでしょう」



「ああ…そう答えた。私の国とは関係ない人間だし、使者ではあるがそこまで重要ではない人材だと。これはコントローラーから用意された答えだったんだが」



「祖父が?」




祖父は僕が監禁される事をわかっていたのか?




ならばダメ元で僕を遣わせたのだろうか。



すると命が危ないと知っていて僕を…



「〇☆△◎!」




「うん?」



なにやら廊下で叫んでいる。



アシュラフが電話をしているようだ。



バンッ!






「おい! ウサーマ!」



目を血走らせたアシュラフがドアを蹴り破ってきた…。