ジ・コントローラーZERO第8話『後継者』

「コントローラーとは…万物を司る者だ」



「万物を…司る…そういえば初対面の時そんな事を言ってたっけ…」



「それが人間にとってどれほど大変な事かわかるかい? 心理学、統計学宗、物理学、考古学。知らない事を無くす程学び、完璧な戦略を練る。結果、あの方の出す答え全てが正解で、それ故に各国の政府から判断を頼まれるワケだ」



「各国の政府?」



「私の聞いているだけで30ヶ国以上に及んでいるよ」



「そんなに?」



「世界大戦がここしばらく起こらないのは、君のお祖父さんが全てをコントロールしているからだ」




「えっ!?」




「まあ世界の中には自国に驕りあの方に反目する国もあるがね。そういう国はいつも自ら揉めようとしている。例えばアジアの2つ程の国もそう」



「な…るほど…」



「コントローラーの優れた判断は、世界を何度も救ってきたのさ。…今回もそうである事を…私は祈っているよ」



そういうとウサーマは僕を大きな目で見つめた。



子供心にプレッシャーを感じたよ。



でも…やるしかない。



「祖父はどうやってコントローラーの力を手に入れたんでしょう」



「よくはわからないが、一説によるとナチスドイツの…ヒットラーがそうした完全なブレーンを作りたくて研究を重ねたものをお祖父さんが実行したとも…」



「なるほど…」




つまりヒットラーは、政治家として膨大な知識と最高の判断力を持つ究極のシンクタンクを作ろうとしたんだ。



“完璧”



に全てをコントロールできる人間を…




何故ヒットラー自信がそうなろうとしなかったか?



フフ…勉強しているだけで一生が終わるかもしれない事は他人に任せて自分は天下人になろうと思ったんだろうね。



五里霧中でずっと勉強だけをしてきた僕は、初めて自らが祖父…コントローラーの後継者となるべくロサンゼルスに連れて来られた事を理解した。




「僕は…コントローラーにならなきゃいけないのか…」



「頼むぞ、ジョー」



「…はい」




「−まもなく当機は着陸体制に入ります−」




不思議と緊張はしなかった。



権利の売買で交渉するだけ。



ただそれだけだった。





だがこの時、予想を遥かに上回った環境と成り行きが待ち受けていた事を…僕は欠片も気づきはしなかったのだ…。