ジ・コントローラーZERO 第7話『核心』

「コントローラー、こんな子供にこの重責をまかせるのですか!」



「子供ではない。ジョーと呼べミスター・ウサーマ。彼にはこの数年間、英才教育を施してきたつもりだ。この問題にも充分に立ち向かうだけの技量はある」




彼。



そう呼ばれた時、妙にこそばゆく感じた。




祖父は、子供ではなく人間として僕を認めてくれていたのがこの時わかったよ。




いつからだろう?




「ジョー、やれるか?」



「…やってみます」



そう返事をするしか…ないだろう?



「しかし、今回は交渉に同席してもらわなければならないんですよ? 彼の年齢で相手側が納得するとは思えません!」



「フン…では相談にはのらんよ。私は今回どうしてもアメリカを離れるわけにはいかないんだ。ジョーが無理ならば単純に手助けできないという結果が待っているだけだ



最終的にウサーマ氏が折れ、僕は2日間飛行機に揺られる事になった。



この旅路が、この時点の僕にとっては極めて貴重な経験で、それは機中、ウサーマとお互いの疑問をぶつけあったところから始まっていた。



…当面の問題とは全く異なる疑問を。





「ジョー、君はアラビア語が上手いね。何ヶ国語が喋れるんだい?」



「16くらいです」



「それは凄い!」



「ミスター・ウサーマは祖父とどれくらい長い付き合いなんですか?」



「この話で初めて先日会ったんだよ」



「えっ? …じゃあ何故祖父に相談を?」



「それは…コントローラーだからさ。あの方がドイツにいた頃に私の父がお世話になってね。父が亡くなる時にも、困った時はコントローラーに頼めと言っていたんだ」



「祖父はドイツに居たんですか」



「本当に何も知らないんだね。今のアメリカには二十年程前に移住したそうだよ」




「そうなんですか…。あの、コントローラーっていったいなんなんですか?」



「それすらも知らないのかい!?」



「はい。いきなり連れて来られて勉強をさせられていただけなので」



「恐ろしいな」



正直言えば、祖父に直接質問するよりウサーマに対しての方が聞きやすかった。




彼は




“ライオンの子”




という名前の割には実に優しい目をしていたから。




「では私の知っている限りの事を教えよう。コントローラーとは…」