ジ・コントローラーZERO第6話『伝授』

LAの豪邸に住み出して六年目ともなると、この頃には街にも出られた。




といっても、映画や買い物では無い。



人間観察の為だ。



祖父と車の中やショッピングモールの椅子からこれ!と言われた人間の性格や職業を推測させられる。




僕の答えが祖父の答えと違う場合はペナルティとしてランニングやスクワット等をやらされた。



祖父の答えはいつも正しく、ある時などはサンタモニカで



「あの男は借金返済で切羽詰まっている。角から三軒目の雑貨屋に強盗に入るぞ。モーガン、通報して出口で捕まえろ」



と言った8秒後にその通りになった。




つまり祖父は人間を読み取って答えを出していたのだ。



この技術は僕が初めて直接伝授された特別な分析だった。



人間をパターン分けするところは通常のプロファイリングと同じだが、顔相、表情の読み取りだけで20ポイント以上の箇所を同時に見、更に歩幅、服のデザインや色、癖、呼吸などあらゆる箇所を見逃さない。



その辺の心理学者とは、レベルが十段は違っていたと断言できる程に。




「いいか、ジョー。全てを見過ごすな。たった一点見過ごすだけで死ぬ事もあるのだ。観察に終わりは無いんだよ」




この言葉は、人生でずいぶんと僕を助けてくれる事になる。



最初は祖父の教えを




「こんな事必要あるんだろうか」




と思っていた僕も、この段階では様々な勉強が必要な事だと考えるようになっていた




何故ならば、一切祖父とモーガン以外の人間と口を聞いてなかったからだ。



洗脳?




いや…





“コントロール”





さ…。






さて、実は二人以外の人間が屋敷にくる事が月に一度〜二度あった。




そんな時は決まって図書室にこもらされていたから、それが誰かはわからなかったんだけど。




ところが、10歳の誕生日の二週間前。




僕はお客のいる場所に呼ばれた。




「ジョー、質問がある」



「はい?」



「彼の国は今隣国と石油の採掘権で戦争になりかけている。境界線上に油田が発掘されたからだ。どうしたらいいと思うね?」



「…採掘権を自国に、隣国に販売代行権を独占させるというのはどうでしょう」



「フム、なかなかだ。ではお前が行って戦争を食い止めて参れ」



「えっ?」