ジ・コントローラーZERO第3話『勉強』

「そして月曜は日本語で喋り、火曜は英語。

水曜はロシア語で、木曜は韓国語。

金曜は北京語、土曜はスペイン語、日曜はフランス語で喋れ。他の言葉は一切使うな。ワシとそこのモーガンもその言葉しか喋らんからな」




「えっ?」




「それぞれの日はそれぞれの国の言葉だけでなく環境やメンタリティを勉強しなさい。食事もその国のものしか出さないが…」



老人は冷徹に言い放った。




「食事中に食材を当てられなければ食べずに途中で終了する」




「どうして?」



「5年後にわかる」





4歳の子供に強要するにはあまりにもバカげた話…だが祖父・アルフォンスは本気だった。



それからというもの、毎日毎日勉強…モーガンと祖父のどちらかが睡眠以外フルタイムで僕に教え続けた。



学校の先生のようなたまに見せる冗談も無く、ただただひたすらに盲目的に詰め込み試される日々。




ただ、勉強自体は向いていたのか苦痛ではなかったんだ。




タオルが水を吸収するように、僕の頭は各国の言葉を覚え、半年も立つと二人との喋りはつつがなくできるようになっていたし、見たことも無い国の文化や風習は実に興味をそそられた。





だがしかし。





食事に関してだけは難しく、最後まで食べられた事は三年の間でも数える程しか無かった。




この生活を始めて半年程した頃、一度聞いた事がある。





「食材を覚え、当てる事はなんの意味があるのですか?」





「毒が入っていたらすぐわかるだろう? それに食べ物に関する問題が起きたら、食材がわからなければ解決できないではないか」






…意味がわからなかった。




食べ物に関する問題?




そんな問題が起きるのか?




毒?





この老人はいつか僕の食事に毒を入れるつもりか?




唯一の息抜きだった筈の食事の時間すら、この瞬間から気が抜けなくなってしまった








そして、期限の三年が立とうとする頃…僕は外に出たくて出たくてたまらなくなっていた。




外の匂い、気温、太陽の光に風の感覚…全ては遠い昔の記憶。



当たり前のものがそうでなくなっていた…。






そして待ちに待ったその日はやってきた。





「ジョー。約束の三年がそろそろ過ぎる。スケジュールを変更しよう」