ジ・コントローラーZERO第2話『規則』

「コント…ローラー?」




「うむ」




何時間ぶりに聞いた日本語は僕を少しだけ安心させてくれたものの、外国人である老人が訳の分からない事を言っている状況に、依然として気は許せなかった。





「まあおいおいわかる…自己紹介を進めよう。儂の本名はアルフォンス。お前の母親の父だ。つまり日本語でいう“おじいちゃん”だ」




「おじい…ちゃん?」



玄関先に立ったまま、僕は実に流暢な日本語で説教を受けるように話を聞かされるハメになった。




「お前の母親クリスティーナは酒に溺れてアル中になり行方がわからんのだが…お前の存在が判明したから、ここに連れてきたのだ。理解できるかね?」




「は…い」




「フム…」




彼は僕を情の欠片もない目つきで見続けている。




それが僕を分析していたと気づいたのはかなり後になってからで…その時の僕にはただ嫌われているようにしか思えなかった。




正直それまでの短い人生では人に愛されるなんて有り得なかったからね。





「…暴力をふるわれた事はあるか?」




「…えっ?」




「ぶたれたり蹴られたりした事はあるかときいておる」




「あります…同じ施設の吉村君に…」




老人は最後まで僕の話を聞く事も無く続けた。




「儂は殴るような事はせん。だから怯える意味は無いぞ。もう少し落ち着きなさい」




だが、額面通りに受け取れる筈は無い。




「…中に入れ」




検討がつかないくらい広い屋敷の中に足を踏み入れると、重い音がドアから響き、鍵がかけられた。





十人は座れるようなソファに腰掛けた僕は、黒人がぶっきらぼうに出してくれたオレンジジュースをすすり、さっきよりも落ち着いたふりをしてみた。




「…まだ怯えているのか」




「えっ?」





何故バレたのか、幼い僕は不思議で仕方無かったけどね。



彼には全てを見透かされていたのだと知ったのは、二年後の事だった。




芝居を見破られた僕は、罰としてこれからどんな嫌な目にあうのかを、一生懸命思い浮かべながら“ふり”を続けたが…祖父の口からは想像を絶する告知が言い渡された







「さて…ではまずルールを説明しよう。今日から三年間…お前はこの家から一歩も外に出てはいかん」




「えっ?」