ジ・コントローラーZERO第1話『先代』

僕に物心がついたと呼べるのは、4歳の頃だ。





『柊の里』





と呼ばれる虐待された子のための施設が最古の記憶と言えるだろう。





両親の記憶は全く無い。




どうやってその施設に来たのかも誰に連れて来られたのかも全くわからないし、二年ほど過ごした間にたいした思い出も作れずに僕は居場所を移す事になった。










…これから話す事はただの思い出話。





普通の人にとっては異質に聞こえるかもしれないけど、僕にとってのルーツと言える話だ。













ある朝、異次元からの迎えは突然にやってきた。










ある朝起きると、目の前に色の黒い外国人が立っていたんだ。






当時は肌の色が違う人間がいるなんて思わなかったから、僕は怖くて固まってしまった。





なにしろ施設はテレビもないくらい貧乏だったからね。






そんな施設に連れて来られたという事は、僕の







“それまで”






は更に酷い生活だったに違いない。








柊の里で暮らす方がマシだから入所させられた訳だろうし。










迎えには抗うべくもなく…僕はあっという間に車からチャーター便の飛行機と、転がされるように輸送される事になった。





車にも飛行機にもこの時が初めてだったけど…僕はなにより隣のニコリともしない黒人が怖くてたまらなかった。




どこへ連れて行かれるのか、黒人が誰なのかも説明が無く、ほとんど喋らず目線も合わせてくれない。






生きた心地はしなかったよ。






飛行機がアメリカ・ロスアンゼルスに着陸すると、僕はミネラルウォーターのペットボトルを与えられ、長いドライブを強制された。








そして何度目かの居眠りから覚めると、見たこともない広大な屋敷についた。








広い広い庭を更に車で走ると玄関の前には金髪の老人が立っていた。





僕は黒人に促され、ドアを開ける。









その老人は眼鏡の奧から鋭い眼光で僕を睨んで…こう言った。





「お前がジョーシローか」



「は…い。…あなたは?」



老人は眉一つ動かさず、僕の問いに厳かに答えた。





「我こそは……万物を司る者。人は





“コントローラー”




と呼ぶ」