不可思議シリーズ『蜃気楼』

出会いバーでの、なんとも不思議な一夜が明け、僕はうなだれていた。



ヒロ君。



お前はいったいなんなんだ?




架空の人物かと思えば通夜に現れ、理沙との出会いの場に行けばそんな会員いないと言われる。




まるで追えば逃げる




“蜃気楼”



のような男だ。




「…どうして見つからないんだろ」


「♪♪♪」



お、電話だ。



「もしもし?」



「おう、その後どうだ」



「蔦山かぁ…」



僕は昨日の出来事を蔦山に話した。



「そんなんアリなの?」



「…だって本当なんだからしゃあないだろ。紹介されておいてお店が嘘つくとは思えないし」



「確かにな。…なあ、霊だったりして」



「お化け? いくらなんでもそりゃあないだろ? 霊なんておかしいよ、イナ淳の話じゃないんだから」



「わからんて。この話自体ただ事じゃないんだからよ」



「…」



「とにかくよぉ、用心しろよ? 霊だったら俺、おじさんが霊能者だから相談できるし」



「…わかった」




霊……か。



そういえばこれほどまでに出たり消えたりする人間の話なんて聞いた事が無い。



「それかスパイとか…? …あの匠って人…こんな悩みでも聞いてくれんのかな」




いや! 昨日は大概な事をしてもらったんだ。



更に甘える訳にはいかない!




「おっしゃ!」




飛び起きた僕はもう一度里沙の日記を読んでヒントになるキーワードを探す事にした




“ヒロ君の目を見ていると吸い込まれる”



…霊っぽいな…




“ヒロ君の肌は透き通るくらい白い…”



…霊…っぽい…な




“ヒロ君の声を聞く度に魔法にかかったみたいに離れられなくなる”



…こ…これは…もはや霊なんだろうか…




「おや? これは?」



“ヒロ君の家に泊まりにいった”



“マンションの目の前でご飯を食べたらコウダイ君と来たフレンチのお店だった”



「!」



僕と理沙はローテーションでいつもエスニックやイタリアンを食べていたから、フレンチは一度だけ僕の誕生日に彼女が予約した店で食べただけだった。




「これだ!」



今度は家がわかったんだ。



また一歩近づいたぞ!





「ヒロ…お前を必ず見つけてやる!」