不可思議シリーズ『蜃気楼』

『アルカード』



検索してみると、それは六本木の会員制の出会いバーだった。



「…いきなりつまづいたか」



会員制って段階で入れないじやないか。



しかも出会いバーって…



理沙…どれだけ寂しかったんだよ…




「会員制…会員制…会員とか金、かかんのかな」




まあとにかく行ってみるか!






そして僕は通夜の翌日、六本木に立っていた。



「この辺かな…」



わかんない。




仕方ない、聞こう。




「あ、すみません、アルカードって店、場所わかりませんか?」



水商売っぽい人に話しかけてみた。



「…アルカード? 僕の店の近所だね、一緒に行こうか」



「お…お願いします!」



亜麻色の髪に色の白さ…それにどこか落ち着く喋り…不思議なオーラを持っている人だった。



「どうしてアルカードに行きたいの? 会員制だよ? 君は会員じゃないでしょう」



「なんでわかったんですか?」



「まず店の場所がわからない。次に年齢的にお金を払って出会いバーで出会いを求めなくてもいい」



「そ…そうですね。実は僕の元カノが…」



割と人見知りの僕が、何故だかその人には喋りたくなってしまった。



「…なるほど。それは不思議な話だね」



「で…すよね」



「しかし会員制ならばわかりやすい」



「何がですか?」



「あそこは会社の名刺が無ければ会員になれないんだ。つまりそのヒロ君の身元が割れやすいという事さ」



「会社の名刺!? そんなの学生の俺に…」



「ついたよ。どれ、入口まで一緒に行ってあげよう」



「は…はい」



ビルの二階に階段を登ると、慇懃な紳士が僕を見た。



「会員証を。初めてのお客様でしたらお名刺を頂戴しております」



「あ…の、名刺、無くて…」



「ちょっと彼を僕の顔で入れてあげて欲しいんだけど」



「あっ!? …いつ六本木にお戻りに?」



「今…さ。彼の質問にも答えてあげて欲しい。じゃあ君、頑張ってね!」



「あ…ありがとうございます! あの、お名前を…」




「フフ…名乗る程の者じゃない」



行っちゃった…。



なんというか…一緒にいると夢を見ているような気分になる人だったな…。




「いらっしゃいませ!」




扉を開けると、別世界が僕を待っていた…。