窪は切ない夢を見る17『恋の浪漫飛行五日前』

「どれくらいの期間?」



「普通に1週間くらいです」



「ちょうどいい…誰か連れて行ってもいいですか?」



「いいですよ。その人の航空代だけは自腹になりますけど。部屋代はツインだから必要ないです。…ちょうどいいって何が?」



「エヘヘ…秘密です。いつから?」



「来週の頭から」



「あと5日…ヨシッ」








――――1時間後







「おばちゃん久しぶり」



アタシは先日会社をリストラされるまで、毎日通ってた喫茶店に顔を出しました。



「窪ちゃん! どうなったのよあの後!」



「どの後?」



「集学館の掃除夫の面接受けに行った後だよ!」



「…いや、掃除はしてないけど…」



「やっぱり落ちたんだ。集学館ともなると掃除も簡単じゃないんだねぇ」



「あの…違うんですよ? 集学館で漫画の主人公…じゃなかった、原作者になったんですって」



「えええっ! 本当に?」



「うん」



「集学館もずいぶんレベルが下がったねぇ」



「ってちょっと! 今もベガス行きの打ち合わせ帰りなんだから」



「本当に原作やるんだね…一体どんな漫画なんだい?」



「アタシが主人公の漫画」



「売れなそう…」



「もう! ネガティブな事ばかり言わないでよ! …それより、アタシもついに独り者じゃなくなるかもしれませんよ」



「ええっ! …そういう事?」



「へ? どういう事?」



「あれだろ? 貧困にあえいでる村から娘を結婚という名で買うっていう…」



「それフィリピンとかであるツアーでしょう! ラスベガスでそんな話無いから!」



「じゃあどこの誰と結婚するのよ」



「六本木のキャバクラの娘です」



「…それはちょっとアンタ…」



「式には招待しますから」



「よく考えなさいよ。キャバクラ嬢だよ? 騙されてるんだよ」



「真由美ちゃんはそんな娘じゃないから」



「そんな娘じゃないって…そんな娘だよ、キャバクラ嬢は」



「大丈夫だって。本当にいい娘だし、幸せになりますからみててくださいよ」



「窪ちゃん…」



ベガスに真由美ちゃんと一緒に行ってシルク・ド・ソレイユを見たい。



中年になって初めての恋なんです。



ベガスまであと5日。


こうなったら今晩全てを決めるしかありませんね!