窪は切ない夢を見る16『遠距離痛風』

『3月4日』


“ジャジャジャーンジャンジャンジャンジャン(暴れん坊将軍のテーマ)”



「うーん…みんな安心して…野菜食べれば痛くないから…ムニャ……ハッ…電話…もし…もし…」



「宇佐美ですけど。もしもし窪さん?今家?」



「いや…宇宙…ムニャ…」



「…今日打ち合わせしたいから五時に会社にきてくださいね」



「はい…ん? ここどこだ?」



「モー」



ん?



モー?



「って牛!?」



広大な敷地、草の匂い。




なんとここは牧場ですよ!



「誰か…あっ!」



遠くに牛の世話をしているおじさんがいますね!



「すいませ〜ん! ここはどこですか!」



「マザー牧場だけど」



「うおっ! 千葉の奥地!? 神保町までどうやって行けばいいですか?」



「どこそれ?」









―――数時間後。






「という訳で大変でしたよ…」



「なんでマザー牧場まで行ったんですか?」



「さあ…全くわかりません…」



「…どうやって…帰ってきたんですか…?」



「恥ずかしいので言いたくありません…」



「恥ずかしい?(…どんな帰り方してきたんだろう…)」



「それより夢で新作を思いついたんですよ!」



「漫画の?」



「ハイ! まず宇宙からのウイルスで地球の野菜が取れなくなっちゃうんです!」



「…ほう」



「で、伝染病で痛風が広がって行くんです!」



「はあ…痛風が…」



「でみんなでわずかに採れる野菜を奪い合ったりするサバイバル巨編題して『痛風惑星』ですよ!どうですかこのスケール感!」



「痛風…惑星…」



「宇宙まで行った甲斐があったでしょう!」



「あの…やめときませんか…」



「ええっ!」



「そもそも行ったのは宇宙じゃなくて牧場じゃないですか…」



「まあそうなんですけど…夢でね…」



「夢のままにしときましょう…」



「ハイ…ところで今日なんで呼ばれたんですか?」



「実はちょっとしたタイアップ記事を作るのに、窪さんに撮影モデルを出張でお願いしたくて」



「タイアップ記事?」



「GW旅行に読者を誘発するために航空会社が招待してくれて記事を作る事があるんですよ」



「どこに行くんです?」



「ラスベガスです」



「なんですと!」