窪は切ない夢を見る15『天使降臨』

「ングッングッ…ぷはあっ」



「おお凄いじゃん」



「今日はまだお酒飲んで無かったし、なんとかいけたよ。傘で飲んだのは初めてだけど」



「泰明さん」



おっこの声は!



「真由美ちゃん!」


天使キターーッ!



「真由美遅いよ」



「のぞみごめんね、なかなかお客さんが帰ってくれなくて」



「真由美が来る前にこの痛風はもう心意気いってるから。傘で飲んでんの、アハハ!



自分が飲ませたくせに…



「ここにある傘? 泰明さんの心意気で内側が濡れてるんですね。凄いわ、シルク・ド・ソレイユみたい!」



「そ…そうでしょ。行っちゃおうかな、ベガス」



「本場のシルク・ド・ソレイユ、見たい!」



「じゃあ一緒に行こうか!」



「ウフフ…いいですね」



あれ?




酒のせいとはいえ、こんな台詞がスルッと口から出てくるとは…アタシも“一人前の原作者”って事ですかね?


はたまた鯉の…いや、恋の魔力がそうさせるのか…なんてね!



しかも真由美ちゃんのいい返事…こりゃ失恋した先生には申し訳ないですが、漫画のタイトルは改題して



『窪は幸せな夢を見る』



かな、彼女とベガスに婚前旅行に行くっていう。



「まあたなんか妄想してんなこの痛風は。夢見てないで接客しろよ、ハイ! 次の心意気!」



ドン!



と置かれたのは…



「日本酒の…一升瓶? こ…これを…心意気で…?」



「そうそう。ビールばっかりじゃつまんないから」



「ちょっとのぞみ、いくらなんでも止めて。泰明さんが死んじゃう!」



「足の親指は痛くなるかもしれないけど、死にゃあしないよねぇ痛風?」



もうホントにこの怪獣は…



「“仕方ない”やるよ」



「泰明さん、無理しないで!」



「真由美ちゃん、男には引けない時もあるもんだよ(ニヤリ)」



キマった…



アタシに惚れなおしてくれたかな。



しっかし日本酒の心意気は初めてだなあ。



いけるのかなあ。



まあやってみますか。


「ようし! 窪、日本酒イキマース!(BGM』『燃え上がれガンダム』 )」



「ングッングッングッングッングッンッ…」





「ングッングッングッ…ングファッッ!!」





アタシはついに






宇宙へ行った。








ような気がしました。