窪は切ない夢を見る14『悪魔来襲』

「ぞぬみちゃん!」



「ああ? のぞみだっつってんだろこの痛風が!」



既にできあがってる…



しかも独りで来るとは…



「ウサミンに言われたからせっかく様子見に来てやったんだよ、さっさと接客しろ痛風」



くっ…怪獣め…



「あ、僕このテーブル今離れられないんで窪さん知り合いなんだし1人で接客してきてください」




………神よ…




「オラオラとっとと座んな痛風」



「はあ…」



苦手なんだよなあこの人…



「んじゃ早速アレやって」



「アレ?」



「アレっつったら一気飲みだろ? 他に取り柄あんのか痛風?」



「痛風痛風言わないでよ、足の親指痛くなりそうだから。心意気はアタシの心意気メーターがMAXにならないと…とりあえずお話でもしませんか」



「“お話でもしませんか”って見たことも無い腐った接客だね。同じ接客業として見下げ果てるよ」



「そこまで言わなくても…」



「じゃあ話してみな」



「こないださあ、寒いからゴミ箱で寝ちゃってね、起きたら警察に連れていかれちゃったんだアハハ…」



「それで?」



嫌な受け…



「仕事は?って聞かれたから漫画の主人公って答えたんだよね」



「で?」



「お巡りさんに余計あやしがられちゃって宇佐美さんに電話して助けてもらったんだよね」



「どうしようもないね」



「う…うん」



「……………」



ダメだ、この沈黙に耐えられない!



「あ…あの…心意気…しちゃおうかな…」



「ん? 今どこでメーター上がったワケ?」



「え…えと…警察に連れていかれたところかな…」



「自分で話して勝手に上がるメーターなんだ、便利だね」



……そうじゃ……ないんですけど……



「まあいいや、今日はこれで飲んで貰おうと思って器持ってきたから」



ドン!



と置かれたそれは…




「傘?」



「そうそう! 開いた傘にビール入れてさ、水芸みたいだろ?」



「あの…アタシ、シルク・ド・ソレイユじゃないんですが…」



「そんなの見ればわかるに決まってんだろ」



……誰かこの怪獣を連れて帰って……



「じゃあ……行きますよ」



「おい! 窪、イキマースってやんないの?」



「うるさいなあもう……窪、イキマース!」



ングッングッングッ…