窪は切ない夢を見る03『不思議の国の痛風』

「漫画の中の…仕事?」



「そうです。その仕事を通じて主人公が色々事件なんかに遭遇するんですよ」



「どんな事件ですか?」



「その仕事によります。何か職業のアイデアありますか?」



「じゃあパイロットはどうですか? 子供の頃なりたかったんですよ」



「パイロットだと専門知識が必要になりますから他の原作者を連れてこないと」



「それは困るなあ。じゃあ俳優はどうですか?」



「…何故ですか?」



「カッコいいかなと思いまして」



「あの…等身大の中年の面白おかしい話をやるワケであって…」


「じゃあ医者はどうですか? ドクターK…」


「窪さん…それ既に同じ名前の漫画がありますから。そもそも実際に窪さんに体験してもらいたいんですからそんな専門職みたいなのばっかり挙げても現実的じゃあないでしょう」



「じゃあ宇佐美さんはどんな職業がいいと思います?」



「うーん…肉体労働がいいですかねぇ…介護とか?」



「それ、過失で人を殺す自信があるんですけど…面白いエピソードになりますかね?



「殺人はちょっと…」



「まあ酒でも飲みながら考えましょうよ」



「あの…いつも不思議なんですけど」



「はい?」



「痛風なのにお酒好きですけどセーブしなくていいんですか?」



「ああ“そんな事”ですか。人間、やめられないものが一つくらいあってもいいじゃないですか。あとの事考えてたらアタシの人生やってられませんから」



「…大物…?」





という訳でアタシ達は六本木の『Itsumo』という会員制のダイニングバーにやってきました。



「六本木なんて、なんだかカツアゲされそうですねぇ」



「…中学生じゃないんですから…」



「いやたまにされるから」



「え!? されるの!?」



「え、ええ…2ヶ月にいっぺんくらいですけどね。しかし…こりゃ高級な店ですねぇ…普段アタシが口にしてるモノなんか無さそうだなあ」



「せっかく連載決まってるんで、いつもより高級な店にしようと思って」



「いらっしゃいませ。ご注文は?」



「あの、麦でできた炭酸の…」



「窪さん…普通にビールくらいありますから…」



「ビールお二つですね」



「凄いなあこの店…」



「今日はこの後キャバクラも行きましょう」



「キャバクラっ!?」