ジ・コントローラー矯能回『地獄の天秤』

「匠! 匠!」



「うん…?」



「おお目が覚めたか!」



「ここは…」



「富士平病院の個室だ」



「匠さん、滝に落ちた後、少し下流に国道が見えて、パトカーがいたんですよ! 私は滝壺にはのまれなかったんで、人を呼びに行ったんです! もう3日も意識が無かったんですよ」



「助かったんだね…」



「匠…美咲から全部聞いたよ。なんと言っていいか…ありがとうよ」



「フフ…約束は守りましたよ。飯塚は?」



「逮捕して、今は精神科での検査を受けている。しばらくは検査責めだ」



「もう飯塚文雄の人格は出てきません。再犯の可能性だけは否定してもらえませんか



「手配しよう」



「痛っ…僕のケガは…」



「右腕は浅かったんで一週間くらいで治るそうです。左腕は貫通したまま無理をしたので1ヶ月くらいかかるって…後は輸血と点滴を大量にしたんで安静に、だそうです



「仕方ないね。生きて帰れただけ儲けものだ」



「そうだよ…カレー、百回ご馳走するからな!」



「フフ…末永いお付き合いになりそうですね」



「そういえば匠さん、私が預かってたんですが、今日はやけに携帯が鳴ってましたよ



「携帯? どれ…」



「今日ワシが電話しても出なかったお前のアシスタントがかけ直してきたんじゃないか?」



「いや…」



着信は全て、カイム脱退以来の恵さんだった。



「かけ直してみよう。…もしもし?」



「あっ匠さん! 大変なんです! 私と一緒に住んでる美里を覚えてますか?」



「ああ、最初に君を助けて欲しいってアジャルダンに来た…」



「彼女、鼎財閥の一人娘なんですけど昨日誘拐されて…」



「誘拐!」



「ハイ! 今朝脅迫状が家に届いて! 匠さんしか相談できる人がいなくて…」



「警察には?」



「さっき美里の実家に連絡したんで電話してると思います」



「すぐそちらに行く!」



電話を切ると日影舘さんが渋い顔を向けていた。



「聞いての通り…退院します! …まだニュースではやってないかな?」


“プツン”



「現場から生中継です…先程からIba銀行に立てこもる強盗は人質を盾に…」



テレビ画面には、全く違う事件の人質として抱えられる知った顔が映っていた。



「田邊君!!!」


To Be CONTINUED