ジ・コントローラー26『決着』

飯塚はボウガンを投げ捨て向かってきた。



「この野郎、殺してやる!」




女とはいえ大柄な飯塚と、両腕にボウガンの矢を受けた僕とでは、正直体力に差がある。





普通なら?





僕も腕には多少自信があるんだけどね。





さすがに今回は…








「死ね!」








飯塚は右脇腹にナイフを構え突進して来た!







「!」







僕は、全身全霊を込め集中する!








“ガツンッッッ!”








二秒後…ナイフは、僕の身体の後方に突き抜けた。












「フフ…」











ナイフを持った飯塚の腕は、僕の右脇に深々と抱えられている…。







「貴様!」






何が起こったか?





解説しよう。





まず、基本ナイフを持つ相手は、ナイフだけでしか攻撃してこないと考えられる。




そしてナイフ戦の経験者であるほど、例えば剣道のように右上段から斬りつけるような身体がブレる攻撃法は選択しない。




ナイフを使った戦闘法は、ナイフを持った手を前に出し攻撃範囲に入った相手をショートスパンで繰り返し



“斬る”





のが正しいのだ。




が、飯塚はこちらが反撃不可能と踏んだ上、逆上したため突きという手段に出て、腹の横前にナイフを構えた。




この動作では、突きしかできないから、僕には次の動きが読みやすかった。





刺す動きは、切りつける動きよりもピンポイントなだけに、怪我を負った僕にとってはむしろありがたかった。






もしも切りつけてくるなら、かなり広範囲にかわすイメージでのぞまなければならず、一撃目で相手をキャッチする事は難しくなるからね。





そして、攻撃方法が一つに限定されたら次はスピードにだけ気をつければいいって訳







怖い?






…別にナイフと闘う事が初めてじゃないから…。







こうして僕は、飯塚の一撃を脇腹に挟み込み、動きを封じた。






「クソッ」





“ザンッ”





直後、飯塚は崩れ落ちた。




後方から至近距離で、美咲さんがボウガンをアキレス腱に打ち込んだからだ。



「…なんだとッ!」




僕はすかさず飯塚を寝かせ、耳元で



“コントロール”




をスタートさせた…。