ジ・コントローラー25『直接対決』

飯塚は僕が手負いとはいえ、万が一にも反撃されないよう距離約三メートルの場所からからボウガンを構えたまま動かない。



「この血じゃもう女は死んだか。オイ大将、遺言があるなら聞いてやるぜ? オメェは俺の部屋を荒らしやがって…こっちゃあ頭にきてるんだがよ。みんな死ぬ前には話を聞いてやるんだよ。俺は優しいからな!」




「森の足跡を見分ける程の目なんだ。そりゃ部屋をあの程度乱暴に扱われても変化にイラッとするだろうね。じゃあ…一つ確認したい事があるんだけどな」



「言ってみな?」



「カイムを君が辞めた理由は、遠金さんが関係してるのかい?」



「ホウ…オメェ遠金の知り合いか? その通りだよ! せっかく俺が可愛がろうとしてやったのに、あの女は俺の事を虫でも見るみてぇにさげすみやがったんだよ!」



「それで?」



「犯ってやろうとしたさ。だが逃げられた。おかげでな、俺は残念ながらカイムを追われちまった」



「…カイムはそんなに素晴らしかったか?」



「ああ。信者が裸で樹海に入って戻ってくるって修行だけはな! 俺の格好の獲物だったぜ?」



「ここに来る途中の死体か…」



「他にも何体かあらぁな。気にすんな。樹海に死体なんていくらでもある」



「どうやって遠金さんを捕まえたんだい?」



「俺がよ、車で国道を走ってたら雨が降ってきて、そしたらずぶ濡れの女が歩道で手をあげてんだよ。乗っけてやったら遠金だった訳だ。しかもあの女、俺を見ても気づきもしねぇ。しばらくやってなかったから、因縁の獲物で狩りを“再開”する事にしたんだよ。…こんな楽しい事はねぇからな!」



「なるほど…遠金さんはお前に気がつかなかったって?」



「ああ。自分が追放した男の顔なんざ覚えちゃいねぇんだろ。『俺に見覚えねぇか?』って聞いたら最後までわかんなかったからな。ムカついたぜ」



「…わかる訳がないだろう…」



「…何?」



「お前は飯塚文雄じゃないんだ。飯塚明美なんだよ…」



「なんだと? 妹は関係ないだろう!」



「お前は明美に乗り移った文雄の“人格”なんだ。本人じゃないんだよ」



「バカな事を! 恐怖で狂ったのか、大将?」



「お前は“女性”なんだ。本物の文雄は死んだんだよ」



「やかましい! 殺してやる!」



そしてヤツは逆上し、新品のトラッカーナイフを抜いた…。