ジ・コントローラー24『コントローラーVsトレーサー』

「匠さん!」



「来たか! 頭を下げて走れ!」




僕は美咲さんの頭を抑えて走り出した。




三十メートル程離れたあたりから、ガサガサと木や草ののこすれる音に混じり女の高らかな笑い声が聞こえてくる。




「ハッハッハッ!」




響く女の声は、飯塚文雄の人格が出しているとは言え、どこか異様なテンションだ…




この多重人格の猟奇殺人犯を、僕は果たして退治する事ができるのか…?



さらに言えば、それをクリアしても、樹海から帰還する方法が必要で…これだけは僕の中でも浮かばなかった。





「匠さん、ずいぶん血がたれてますよ…」



弓矢の刺さった左腕の痛みはアドレナリンによって感じない。



もっとも傷が深くて感覚自体ないんだけどね。



下手をすると神経が切れている可能性もあるな…。



「大丈夫ですか!」



「うん…。あのボウガンは厄介だね。近寄ればなんとかなるんだけどな…」



「どうやって!?」



「フフ…魔法をかけるんだよ」




だが…僕の余裕も次の瞬間、失われた。





視界いっぱいに広がったのは直径三メートル程の広場のような草場と、その向こうに流れる川だったからだ。





「あ! 行き止まり!」





「川か!」




この川に飛び込んでも、おそらくはボウガンで狙い撃ちにされるだろう。




「どう…すれば…」




「絶対絶命…ってやつかな…うん?…これは…」



僕は、見覚えのある女性もののジャケットがそばの木に引っかかっている事に気がついた。




「これは…あの日着ていた遠金さんのものだ…彼女もここに追い詰められたのか…僕達は懸命に逃げ回っているつもりだったけど、結局皆が自然と選択する草木の通りやすいルートを使っていたって事だ…」




「だからあいつは軽々追いかけてきたんですね…」






“ヒュンッ!”




空気を切り裂く軽い音と共に僕の右肩までもが鮮血に染まる。




「グウァッ!!」





「きゃあっ!」




僕は美咲さんの肩を抱き口をふさぎ…そのまま彼女を寝かせた。




そして…




“ガサガサ”




ついに勝ち誇り高揚した飯塚明美の顔が、草木をかき分け半身の僕の眼前に現れた。



「へへ…チェックメイトだ、大将」

 
  • コメント(全9件)
  • Shinchan 
    5/25 00:09

    「チェックメイトだぜ大将」の続きは?気になって寝られませんwww
  • *凜* 
    5/25 00:10


    続き気になります


    落ち着いたのでしょうか

    一安心です



  • Shinchan 
    5/25 00:14

    武器がボウガンならちょっと水深を深めに潜ればなんとかなりそう
    でも鯨漁とかでモリの銃を使うからやっぱり水圧くらいでは矢の推進力はあまり下がらないのかもしれない
    どう逃げるか気になる…
  • No problem 
    5/25 00:17

    ついに来てしまったか…

  • Shinchan 
    5/25 00:22

    過去に伏線はってたサブキャラが助けに来るとかかな
    はたまた追手が実は裏切ってて寝返って「演技をしてたんだ。すまない」とかって展開とかかな?
    てゆうか続きが気になり過ぎて困るんではやく更新して下さいww
  • のぶぶ。≪多忙コメ無し。m(__)m≫ 
    5/25 00:25

    どうな
    逃げ切れないかぁ
    づいたよ何か手があるのか
    さんはきっと考えてるはず助かる方法を
  • ルリア*今までありがとうm(_ _)m 
    5/25 05:36

    はようございます

    いつも素敵な作品を本当にありがとうございま


    ハラハ
    ドキド
    の展開に朝からテンション
    てしまいまし


    たくさん元気を分けていただいたので今日も1日頑張ります

    【更新】本当にありがとうございました

  • ☆LastAngel★【G.M号】†病ミ病ミノ実† 
    5/25 06:15

    続きがスゴク気になります


    だいぶ落ち着かれたんですかね

    更新ありがとうございます

  • ゆらら‡皆様に感謝‡ 
    5/25 19:45

    体調は 回復してきたんですか


    更新は 嬉しいですが お大事になさって下さいね。
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