ジ・コントローラー23『ナイフに隠された真実』

「何がわかったんですか!」




「この死体の下にあった凶器のナイフ…これはトラッカーナイフだ…」



「トラッカーナイフ?」



「トム・ブラウンというトラッキング(山中サバイバル)の神様が産んだサバイバルナイフの一種だよ」



「それで何がわかるんです?」



「トムブラウンは森の中の追跡技術にかけては天下一品なんだ。つまり奴の追跡は犬なんかに頼ったものじゃなくて、自分の技術で追うものだ…」




「え? 人間が犬並みに鼻がいいって事?」



「そうじゃない。僕達が通った“跡”を目視で見極めて追ってくるんだ」



「そんな事できるんですか?」



「うん…微妙な足跡、葉や枝のこすれなんかを見つける技術があるんだよ。トム・ブラウンさんはそうした本を書き学校も作っている。飯塚はそれを独学で学び、自ら試すためにこうして人間狩りを催しているんだろう」




「嫌な奴…」




「つまり飯塚はこのトラッキング技術を極めたトムさんのナイフを“どういう物か理解して”手に入れたんだ。そしてこの人を刺した。離れればボウガン、近寄ればトラッカーナイフが奴の武器なんだろうね」



「だから匠さんのシャツにも惑わされなかったんだ…。でも、こんな森の地面なんて見て、そんなに足跡なんてわかるもんですかね…?」



「わかる。僕のプロファイリングは人間に向かって最大限に読み取りと分析を進めるものだ。同じような細心の目線で足跡を分析すれば…」



「…もしかして…匠さんもできるんですか?」



「うん」



「じゃあその力でなんとかならないんですか!」



「追跡技術は追いかけるためのものでしょ。君と僕の足跡を完全に消すのは超能力でも不可能だよ」



「…ですよね」





「謎は解けたけど、対策は難しいな。トレーサー(追跡者)か…こいつは厄介だぞ…











“ザンッッ!!”














「キャッ! 匠さん!」






その瞬間、僕の左腕に氷のような感覚が走り、血渋きが飛び散った。






「ウッ…」







目線を落とすと…怪しく光るメタリカルな矢が、僕の腕を完全に貫いていた…。