ジ・コントローラー22『氷解する謎』

「この死体は…?」



少なくとも数年は経過している。



一部は白骨、一部はミイラ化しているのは、樹海の風通しのせいだろうね。



「骨格は女性か…おや…?」



ここで僕は奇妙な事に気がついた。



死体が服をきていないのだ。



間近に落ちてもいない。




「裸で殺されたって事は飯塚が暴行したんだろうけど…」



「洋服を持ち帰ったんじゃないですか?」



「…しかしね。飯塚の過去の同じ犯罪の何件かは暴行こそすれ服を持ち帰ってないんだよ」



「じゃあ違う犯人?」



「いや…こんな樹海の真ん中でそんなに何件も重ならないよ。ここは飯塚の庭なんだし」



「犯罪と関係ない自殺しに来た人とか!」



「フフ…その人、ここまで裸で来たの?」



「ですよね…」



「この死体の横たわっている地面…死体よりわずかに大きな範囲、葉が少ない」



「どういう事ですか?」



「つまりここで暴行されたって事でしょう」



「聞くんじゃなかった…オエ…」



「何か引っかかるな…!」



その時、恵さんが話していたカイムの修行が頭に浮かんだ!





『修業は世間を捨てて中に入った人がするもので…心眼を鍛える“夜の山の中から身体一つで帰ってくる修業”とか、血を沢山抜いて身体の毒素を抜く修業とか…』



そうだ!



この死体はカイムの信者の女性に違いない!



「なるほど。飯塚はカイムの修行で山の中に入った女性を尾け、暴行して殺したんだ



「えっ?」



「信者が修行中に行方不明になってもカイムは藪蛇になるから届け出を出さないだろう。成功して味をしめたものの、飯塚自身がカイムを女性関係で追われたためにこの路線は藻屑と消えた訳だ」



そう考えれば、妹明美に乗り移った飯塚は遠金さんがカイムの人間だと知って再びゲームを再開したという事になる。



もしかして、遠金さんを見つけた事で文雄の人格が現れたのかもね。



「話が見えて来たぞ…」




「でも、今私達が逃げるための足しにはならないんじゃないですか?」



「フフ…敵を知らなきゃ勝てないさ。これで残る謎は奴がどうして僕達を的確に追ってこれるのか…うん?」



死体の白骨部分となったアバラの下に落ちる形で、鈍く光る物が見えた。



「これは…ナイフだ。しかもこの形…そうか! 飯塚の追跡の謎が解けたよ!」