ジ・コントローラー15『箱への招待』

「女…か。どういう事かな?」



「本当にわからないんですよ…」



確かに彼女は、さっきから嘘はついていない。



「あのさ、お兄さん、人を殺したりするタイプだった?」



「うーん…動物をボウガンで打ったっていう話はしてましたけど…」



「ボウガン! それどこにあるの?」



「隠してあってわからないんです」



「…何か思い出してくれないかな」



「考えてみますけど…」




“けど”



が口癖の人間は押しが弱い。


言いたい事が反対だから


“けど”


がつくのにその先を言いづらいため言わない。



残念ながらボウガンの行方には思い当たる所がないらしいね。



「あの…なんでこんな話を今頃蒸し返してるんですか?」



「以前に起こった猟奇殺人がまた再開したんだ」



「? でも兄はもう死んでるんだから関係無いんじゃ?」



「そう…だね。ただ、隠してあったボウガンを誰かが見つけて犯行に及んだ場合もあるから」



「はあ…」





その後も僕達は一時間程話をしたが、明確に手がかりと呼べるものはなく、明美さんが眠くなってうとうとしたので、僕は明日もう一度話を聞かせてもらう事にした。


「明日も話を聞かせてもらいたいんだけど、いいかな?」



「あ、はい明日は父は病院に行ってますし、私は休みなんで何時でも」




「じゃあ10時に来るよ」



帰りの車では日影舘さんが開口一番プレッシャーをかけてきた。



「どうする?」



「明日は別行動にしましょう。日影舘さんは石川の所に行って…尋問してもかまいません」



「河津はいいのか?」



「彼は犯人じゃない。置かれていたSM関連は彼がMだと認識できる物が多くありましたし、靴を見る限りとても山に入っていけないようなものばかりだった。泥もついてなかったしね」



「じゃあ石川が犯人か?」



「体格的にも、あの髪の毛に対する執着も充分犯人候補です…が」



「お前は腑に落ちない事があるんだな? よし、昼過ぎに連絡を取り合おう」




そして夜は明け、僕は三たび飯塚家の扉を叩いた。



“ピンポーン”



「…」



誰も出てこない?

僕は文雄の部屋に潜入する事にした。


部屋では押し入れが開け放されている。


「これは…」



“ガツンッ”



瞬間、僕の後頭部に衝撃が走った…。