ジ・コントローラー14『対面』

時計の針が21時を回るのを確認した僕達は、その日2度目の飯塚家のチャイムを鳴らした。



「はい…」



飯塚の妹は、なかなかにふくよかで、どこか病んでいるような目線でこちらに接してくる。



僕が経営するホストクラブに、悩みを相談しに来る女性によくいる目つきだ。




僕は案外に



“顔相”



を重視する。




心理学の中で服装と並んで、最も手前にある情報だからだ。



単に見かけの判断では無い。




顔つきでかなりの情報を得る事ができるんだよ。



例えば?



簡単なところだとどれくらい顔を整えているかで細かさやコンプレックスがわかる。




また目には嘘をついているのかや今の感情が映される。



顔の角度や向きからは内向的か外交的か。



顔自体のつくりも含めてその他にも沢山あるけど、それはまた今度。



「ウホン! 警察ですが…参考までにお話を聞かせていただきたい」




「できれば文雄さんの部屋でね」




「…はあ」




階段を上がった二階の部屋まで、彼女は無言。




彼女はあまり僕達に感心が無いようだ。




兄が事件の容疑者になり亡くなってから五年が過ぎている事が原因なのだろうか。



つまり少なくとも兄弟が逮捕される事はもう無いという安心感があると。




「座っていいですか?」



「はい」



僕はわざと部屋の机にセットされた椅子に乱暴に腰掛けた。



「……」



ところが丹念に掃除をしている筈の彼女は全く反応しない。



おかしいね。



いまだに毎日片付けをしているという事はこうして部屋の調和を乱す人間は迷惑極まりないと思うんだけど。



「ここ、毎日君が片付けてるんだって?」



「毎日は別に…父の方がやってるんじゃないですか」



「? そう…お兄さんはどんな人だったの?」



「戦争とか兵士とかそういうのが好きでしたね。私は可愛がってもらいました」



僕は刺激的な言葉で変化の乏しい彼女の反応を見ることにした。



「殺人の容疑者だったのは知ってる?」



「! 容疑者っていうか…単に聞き込みに来ただけじゃないんですか」



「警察的には犯人候補だったんだよね。ねぇ、お兄さんがカイムを抜けた理由は知ってる?」



「あまり語りたがらなかったので…ただ、女性絡みだと言ってました」


「…女?」