ジ・コントローラー12『主無き部屋の不思議』

飯塚の家も一軒家。



彼には妹がおり、病床の父親と三人で暮らしていたらしい。



「日影舘さん、容疑者は亡くなっていますし、僕が話しますから基本的に黙っていてください」



「わ、わかったよ…」




朝から動いている割に、劇的な展開もない日影舘さんは、やはり焦燥感が見て取れる



既に時計は3時を回っていた。



“ピンポーン”



チャイムから数分後、ドアから三白眼の初老の男性が蒼白い顔を覗かせた。



「はい…」



「警察です。ちょっとお話を聞かせていただきたい」




「警…察…?」




「飯塚さん、息子さんの事について伺いたい事がありまして」




「文雄…は死にました…が?」



「昔、暴行事件容疑者だった事はご存知ですか?」



「はい…」



「類似の事件がおこりまして、手がかりを探しているんですよ」



「はあ…」



「さしあたって、彼の遺品なんかがあれば見せていただきながらお話できれば助かるんですが…」



「じゃあ…中へどうぞ」



「ありがとうございます」


玄関に入ると、なんとも言えないすえた匂いに包まれた。



「文雄の部屋で話しますか」



「…文雄君の部屋は残してあるんですか?」





「はい…娘の明美が毎日掃除を欠かしておりません」



「ではぜひ」



部屋は二階にあり…驚くべき点が2つあった。



一つは、モデルガン、ジオラマにミリタリー系の本…ランボーにでもあこがれているかのようなグッズがありとあらゆる棚を占めている事。




もう一つは、あまりにも綺麗に片付けられている事だった。



飯塚文雄は死んだにも関わらず…まるで今でもに生きてこの部屋で生活しているかのようなイメージを受ける程



“生”



を感じる。



これはあまりにも不思議な感覚だった。



僕の長い経験の中でも初めてのね。



遺族が亡くなった人間の部屋を残し、掃除をするまでは珍しくない。



しかし感覚的に



“息吹”



まで感じるとは…



「文雄君はミリタリーマニアだったんですか?」



「そうですね。1人で山の中に入って…サバイバル指向言うんですかね?」



「ふうん…友達は多かったですか?」



「ほとんどいなかったですね。でもね、いい子だったんですよ。カイムに入るまでは




「…カイム?」