ジ・コントローラー09『聞き込み◆

「あれはSMじゃなくて部屋の中に興味があるって意味だったんですけど」



「あっ? そ、そうだよな! そうだそうだ…あはは…なあ、あいつが犯人かな?」



「一通り終わってから話しますよ」



「ええ? なんで!」




直線的な日影舘さんになまじな情報を与えると先走ってロクな事にならない。



答えを隠したのは見識が自分より狭い人に対しては情報を


“制限”



する事が様々なケースで効果を発揮するからだ。

物を教えるにしても


“AとBがある。どちらを選ぶ?”



という言い方より



“Aしかない。Bはあまり考えなくていい”



とあらかじめAしかないような言い方の方が相手は悩まないですみ飲み込みも早い。


もしもわかりが悪いと思う相手に物を教えなきゃいけない場合は、やってみるといいよ。



今回で言えば現段階で河津邦正が怪しいと言えば日影舘さんはどんな手段でも彼を問い詰めるだろうし、河津はシロだと言えば今から会う石川をいきなり逮捕するだろう


だから僕は、石川を見定めるまで曖昧な態度を見せなければならなかった。





そして、車は石川の家についた。



「一軒家に母親と住んでいるらしいぞ」



“ピンポーン”



「はい?」



「警察の者ですが、貴也君の事でお話を伺いたいんですが!」


「は…はい。今いきます」


「日影舘さん、もう少しおとなしくやってくださいよ。話を聞き出すには警戒心が敵なんですから」


「ああスマン…つい、な」


「僕に任せてください」



と、ドアが開いた。



「あのー、貴也が何かしましたか?」



「いや…ちょっと関連があるかはまだわからないんですが…ご本人は?」



「もうすぐ仕事に出かけるんで、支度をしています」



「仕事は何を?」



「運送会社の荷物運びです」



「少し話せますか?」



「呼んできます」



お母さんは目線をあわせてくれない。


息子の存在が彼女を卑屈にさせているようだ。


おそらく、小さな問題を度々起こしているんだろう。




「息子です…」



「あんたたち誰?」




「警察だよ」




「ほんと! 僕なにもしてないよ」



「調書を見たんだけど、数年前にね、君、片桐弘子さんを好きになったの?」



「ひ・ろ・こさん?」



のん気な彼の表情が一変した…。