ジ・コントローラー08『聞き込み』

「仕事…今日は遅番だから午後からだよ」



「なんの仕事?」



「…コンビニだけど…」


いきりたつ日影舘さんが声を荒げる。



「貴様月曜の朝8時にどこにいた!」



「…ち、ちょうど夜中の勤務が終わって帰ってるところだったと思うけど…」



あまり直接的にやられては警戒感を強めて逆効果だ。


仕方ない、他の手段をとるか…。



「すまないけど、トイレを貸してくれないか?」



「ええ? 困るよちょっと!」



「お、おい匠!」



僕は強引に中に入り部屋を見回した。


敷きっぱなしの布団の周りに散乱する雑誌。


テーブルの上には空になったカップラーメンの器とビールの空き缶が並んでいる。



「フン…なるほど」



続いてトイレに入ると、壁にはヌードのポスターが貼られていた。



トイレットペーパーは器具にかけずに床に置いてある。



「32歳でこれか…ずさんだな…」



部屋の中にそっと戻り押し入れを覗くと、大量のアダルトグッズがあった。


とりわけSM物が好きなようで、沢山のそれ系DVDと雑誌が山積みになっている。


本棚に並ぶ本を見ればその人間が解るってね。



勿論DVDも同じ。



ちなみに洋服ダンスや冷蔵庫を見ても解るよ。



この部屋の感じだと冷蔵庫にはおそらくお酒しか入ってないだろうね。




何故?




カップラーメンばかり食べているのは自炊をしないから。


ビールは空き缶の数が大量だったからまとめ買いして冷蔵庫に沢山詰め込んでいないと、追いつかないから。


彼はものぐさみたいだからいちいち買いに行かないでしょ?




「フ〜ン…」



「あ! ちょっとアンタ、何勝手に見てるんだ!」



「失礼。興味があったもんでね」



「なんの事件だか知らないが出てってくれよ!」



「わかったわかった。帰るから最後に一つ質問していいかな?」



「なんだよ!」




「君、人を殺した事ある?」



「え!? …無いに決まってんだろ!」




僕はその一瞬を見逃さなかった。




「ありがとう。日影舘さん、次に行きましょう」


「ん? ああ、もういいのか?」



僕達は車に乗り込んだ。



「次は石川の家ですね」


「なあ匠」



「ハイ?」



「お前がSMに興味があるとは思わなかったよ」



「……ハ?」