ジ・コントローラー06『箱の外』

“キキッ!”








「……止まったな…」









どうやら、目的の地についたらしい。





“ガウン!”






「うっ……」





僕の“住まい”は敵に担がれているようだ。





一息で僕の入った箱を担ぐとは…力はあるみたいだね。






“ザシュ、ザシュ、ザシュ…”






舗装されていない道を歩いているな。





“ガチャン”





建物の扉を開けた…。






“ドガンッッ!”




「うあっ」



箱はヤツの肩から地面に叩き落とされ、僕はあらゆる箇所をぶつけてしまった。





“バンッ”






………扉は閉められた…よう…だ。









「う……く……荒っぽく…扱いやがって…」








「誰!?」






暗闇の中女性の声が響く。




泣き叫んだ後であろうそのしゃがれた声は初めて耳にする声だった。




だけど、僕にはそれが誰だか、すぐに理解できた。



「…美咲…さんだね…」



「だ……誰!」




「僕の…名は…匠…條史郎…お父さんの…知り合いだよ…」




「お父さん? じゃあ警察の人!?」




「ちょっと違うけど…まあそんな感じだよ……ねぇ…ちょっとこの中途半端に壊れた…箱から出るのを…手伝って…くれないかな…」




「は、はい!」




おそらく20分程の作業の結果、僕は脱皮する事に成功した。





「あなたはどうしてここに? 父はどこにいるんですか? 助けはいつくるんです?




「フフ…残念ながら僕は今の質問には一つも答えられないなあ…」



「どうして!」




僕はうっすらと見える彼女の頬に手を置いた。




「僕も犯人に拉致されてここにきたからさ」



「えっ?」




「美咲さん、犯人の顔は見た?」



「いえ…キャンプ場で後ろから殴られて気がついたらここに…」




「僕と同じだね。君がいなくなってから5日が経過しているって事は知ってる?」



「そんなに……知りませんでした」



「脱出しようと思わなかった?」



「扉には鍵がかかってたし、窓には鉄格子があるし、叫んでも誰も来ませんでした」



「犯人は?」



「さっき来たのが初めてです」




「ふうん…」




「匠さんはどうしてここに?」




「僕は…」