ジ・コントローラー02話『遺体』

「取るぞ」



遺体にかけられたシーツを日影舘さんが取ると、変わり果てた彼女が姿を現した。



「遠金…さん…」



顔や頭に打撲の痕があり、裸足で走ったのか小枝が足裏に刺さり貫通している。



「匠…泣いてるのか!?」





衣服は多少の乱れがあり、心臓には後ろから弓のようなもので打たれた痕があった。




とりわけ僕の目を引いたのは、髪の毛が切られていた事。





「死体はどこで?」




「樹海の外れの川に流れていたのをワシが発見した」



「…あなたは麻布署の人間でしょう? 何故富士山麓で遠金さんを見つけるんです?




「…娘がな…富士のキャンプ場で行方不明になったんだ…」



「それで探しに…辛いですね…」



「だから…頼む…娘がこうなる前に…所轄にノンビリ任せてる訳には…いかんのだ…だから…」



「残念ながら彼女がカイムを出てどうなったかは何もわからないんです」



「何か! 何かないのか!」



「…プロファイリングをする事はできますよ」



「!」




「まず…衣服の乱れ方が強姦の痕とは違う…」




「ああ、暴行はされてない」



「足を見ると、靴を履いてないにも関わらず、小枝が貫通する程しっかりと地面を踏みつけている」



「靴は見つからなかったんだ…」



「そして、顔…こめかみに擦り傷とおでこの生え際に打撲。小さい木の切れ端が刺さっている」



「うむ、だが殴られた痕は無かった」



「この足や頭部のケガはしっかり逃げた証拠だ。これほどまでに守るべくは…命しかない。彼女は、追いかけてくる犯人から森の中を必死で逃げたんだ」



「う…む」



「そして暴行されていない…この点で犯人は女か童貞の男かゲイ…最低でも女性に奥手な男。しかし女の場合、1人で誘拐し、森の中を追いかけ彼女を殺すのは難しい」



「じゃあ」



「犯人は男の可能性が強い。それも女性経験がほぼ無くそこにトラウマがある人間だ



「何故?」



「これは、彼女の顔見知りの犯行じゃなく快楽殺人だから。顔見知りならもっと楽に殺しているし快楽殺人者は源にトラウマがある場合が多い。髪の毛はおそらく戦利品…」



「な、なるほど」




「そう考えると、この犯人は弓矢を使い富士山麓を舞台にした“人間狩り”を楽しんでいると言える」




「に、人間狩り!?」