ジ・コントローラー01話『再会』

「重要参考人として来てもらおうか」



長いもみあげがチャームポイントの、トレンチコートの中年は高圧的に言い放った。



「…それは僕が遠金殺しの犯人という意味かい?」



「可能性はある」



「ちょっとアンタそんな仏頂面で本当に警察? 先生は人のためになる事しかしないんですよ!」


「田邊君、それだと人の為になるなら殺人もするみたいじゃないか。僕は必殺仕事人じゃないんだから」



「あ、そっか…ってなんでアタシに突っ込むんですかぁ!」



「フフ…じゃあ行ってくるよ」



「先生!」



「…気のきいた冗談だな」



「ああ…彼女のショックを和らげようと思ってね」



店の前には確かに覆面パトカーが止まっていた。



つまり田邊君の懐疑は晴れた訳だ。



同時に僕は本当の重要参考人になっている…らしいね。



「乗れ」



発車と同時にふつふつと僕を支配していた疑問が口をついた。



「手錠…しないのかい?」



「誰もお前が犯人だとは言ってないだろう」



「うん?」



彼は仏頂面を全く崩さず不機嫌そうに前を見つめている。




「遠金は身寄りが無かったんだ」




「なるほど。カイムの人間は軒並み逮捕したから彼女は、周りの人間と縁がない。カイムを抜けた直後に殺されたから、スカラベについた指紋を追って僕の所に来た訳だ




「…たいしたもんだ」




「つまり他に手掛かりがないんだね」




「そうだ」




「僕はやってないよ」




「お前がカイムにいる日に殺されたんだ、そりゃそうだろう。しかしどんな手掛かりでもいい、知ってる事を話してもらいたい」




「…じゃあもうちょっとマシな誘い方、無かった? あれじゃどこから見ても犯人を逮捕しに来たみたいだ」




「重要な参考人だ。間違いないだろ」




「フフ…確かに。でもね、協力させたいなら名前くらい名乗って欲しいなあ」



「警部の日影舘だ」




「OK。日影舘さん。…けど、もう少しニコリとしてくれないかい」




「フン…遠金の死体と対面したらそんな事言ってられなくなるぞ」



「…」



しかめっ面で僕を見もせずハンドルを握る彼を見て、僕は誤解に気がついた。



真面目だから苦虫を噛み潰した表情をしていたのではなく、それだけこの事件が彼にとって重いのだ。



「着いたぞ」