窪は儚き夢を見る14『下を見て生きる』

「下を見て…生きる。凄いセリフですね」



「先生持病ありますか?」



「無いです」




「それだけで幸せですよ。あと痔の手術した事あります? アレは触るだけで痛い飛び出た肉を、グリグリ! って押し込むんですよ」



「そ、それは痛そうだ…」



「つまりアタシは股関の前と後ろにメスが入ってるんですよ! しかも酷い痛風で! これが人生三大激痛ですよ!」



「き、気の毒に」



「おまけに15年勤めた印刷会社をリストラされて、その後風俗行ったら見たことも無い大きな女の人が出てきて、おばあちゃんの入院費で20万必要だって言うからあげて退職金も無くなったんです!」



「凄い…」



「そんでもってハローワーク行きゃあおじさんにボロクソ言われて、外出たら占い師にクソミソ言われて、トドメに原作書いてみりゃあ全部没ですよ!」




「そ、それは災難…」




「連載を期待されてるだけいいじゃないですか! アタシなんか仕事も女も金も将来も全部無いんですから! あるのは痛風だけですよ、痛風! 窪、行きまーす! ングッングッングッングッングッングッングッングッ…ぷふぉあっ」



「あ、あの、そんなに飲まない方が…」



「いや、あなたが元気出るまで飲みます! だってそれしか出来ないもん! 特大生お代わり!」



「ええ〜…それしかって…痛風なんでしょ?」



「金も連載もあるなら、また別の女と付き合えばいいんですよ! アタシはね、くじけそうになったら下見て生きてきましたよ! 座右の銘ですから!」



「あ、ああ…」



「アタシみたいな男もいるんですよ! 目の前に下がいるんです! アタシを見てください! そして元気出してください!」




「ハ…イ」




「だけどアタシはね! もう見る下もないんです! くっそう! 窪、もう一回行きまーす!」




「なんか…トイレに行ってる間に凄い事に…なってます?」




「おお宇佐美さん、凄い男を連れてきましたね」




「そう…ですね、こんなに凄いとは…」




「ングッングッングッングッングッングッングッングッ…」




「窪さん…大丈夫ですか…?」




「ングッングッングッ…ングフォォッッッ!!」














アタシは再び












空を飛んだ。













ような気がしました…。