窪は儚き夢を見る10『大凡人』

「こ、この手相は?」



「究極の平凡相、言うなれば大凡人だね…」



「大凡人?」



「昆虫に例えればハエ。歴史に名を残す事もなければ他人から羨ましがられる事もない、絶対成功しない生かさず殺さずの運命だよ」




「い、嫌な例え…サザエさんで言えばマスオさんて感じですか」



「そりゃなんか違うだろ」



「でもあの、最近ついてなくて…」



「普通はそんなもんさ。まあどっかで釣り合いがとれる事があるかもね」


「なんで?」



「ん? 締めにそう言っとかなきゃ不安が出来て終わりだろ。占いなんて気休めさね




「そんなにはっきり言われると2000円払いたくなくなりますね」



「払え」







『2月17日』



「ふあ〜…」



おはようございます。



昨日の占い、酷かったですね。



あんなもん?




そうかなあ…。




今日は、昨日あの後自分でアポった会社に面接行ってみたいと思います。



どこ?



エへヘ…集学館です。




やってみたいと思ってたんですよ、編集。




電話したら



「じゃあ明日きてください」



って。



ずっと印刷する側だったんで、その前の段階を作る方に興味あって。



こんなにすぐ面接なんて、案外いけると思いません?



編集窪誕生!



なんてね。



じゃあ行きましょう。



電車に乗って、と。



集学館は神保町なんですよ。


前の職場と同じ…眠い…なあ…


「…グウ…♪」



「神保町〜神保町」



ん?



降りないと。




まだ時間あるからおばちゃんの喫茶店に寄ってきますか。



「いらっしゃ…窪ちゃん! その後大丈夫?」



「うーん、あんまり記憶がないけど多分大丈夫でしょう」



「なんで記憶ないの」



「まあ色々…それより今日は面接なんですよ」



「おっ! どこの?」



「へへ、集学館」



「の、掃除夫?」



「違うって! もう行きます」



酷いなあもう…



みんなアタシをどう見てるんだろ。




ああ、ついた…受付まであるな…。



「少年誌の宇佐美さんをお願いします」



「そちらでお待ちください」



10分後



「窪さん?」


「ハイ」


「結構大人なんですね。じゃあ早速原稿見せてください」



「…へ?」