窪は儚き夢を見る03『二度目の宣告』

「お…はよう…ございます?」



アタシの机に鞄を置くと同時に廊下から呼ばれました。



「窪くん!」




社長です。



ププ…社長はブラックジャックのヒゲおやじそっくりなんですよ。



「へへ、なんですか社長」



「君ね! なんで来てるんだニ!」



「なんでって…電車と歩きですよ、いつも通り」


「そんな事聞いてないだニ! 昨日の話の後でなんで今日いるのかニ!」



「昨日の…話?」



「そう! 昨日仕事後に話したじゃないかニ!」



「……え〜と…なんか話しましたっけ」



「こんな大事な話をなんで覚えておらんのかニ!」



「え……?」



「キミはリストラされたの覚えてないのかニ!」



「え! リストラ!」



「なんでもう一回昨日と同じ説明せんとあかんのかニ! この不景気に印刷会社の業績なんて下降の一途だからすまんが辞めてくれって言ったがニ!」



「ああ〜! そうだ、言われました!」



「そうだろ! それで退職金もとても正規の金額は出せないからって20万渡したんだニ!」



「ああっ! 財布のお金はそれだ!」



「ったくボケとんのかニ! リストラしたのに出勤してくるなんて嫌がらせみたいだニ!」



「それでみんな驚いて見てたんだニ…」



「だニ?」



「いえあの…すいませんうつっちゃいました」



そうだ、それでヤケ酒しに錦糸町に行って記憶無くすほど飲んだんだ…。




「話通りに頼む二!」



「はい…お世話になりました」



「それも昨日聞いたが二!」



「すいません…」



こうして25歳で就職した会社をリストラされたアタシは、とりあえず長年昼休みに通った喫茶店で茫然自失の自分を落ち着かせる事にしました。



「いらっしゃい! あら、窪ちゃん、今日は早いわね?」




馴染みのおばちゃんです。



顔はね、ちびまる子ちゃんのおじいさんに似てます。



おばちゃんですけど。




「会社クビになっちゃったんですよ…」



「え〜! そりゃ大変じゃないの! 奥さんどうすんの!」



「……最初からいませんけど?」



「ああ、そうだっけ。つい、ね…中年顔してるから」



「いやもう中年なんですけどね」



「そんな中年がこの後どうすんのよ」




「どう…しましょうかね…」



困ったなあもう!