終着駅最終回『終着駅』

あれからひと月が立った。



僕の身体は、急に免疫力が下がったらしく、みっちゃんの命日から一週間立たないうちに入院を余儀無くされていた。


医者が違ったから誤診だったのかもしれないけど、さっちゃんと出会って僅か伸びた寿命は、さっちゃんの死によって縮んでしまったと言える。


生きる糧を失った今は、ベッドの上を見つめる日々…というより風前の灯火だ。


歩くのも辛くなってきたから、もう二度と街を闊歩する事はできない。


見舞いには、会社の同僚が何度かきてくれた。


気休めにはなったけどね。


それでも、激痛がおこる回数が増えてきた今の病状は何も変わらない。


あと少しでこの世の終わりがくるだろう。






僕の行く終着駅は、たった一つだけなのだ。






自暴自棄?



いや、そうでもないんだ。












夢を見た。


僕は、さっちゃんとみっちゃんと暮らしていた。


さっちゃんは相変わらず大きな目でニコニコと僕を見つめている。


みっちゃんは日なたで僕やさっちゃんに甘えてゴロゴロと。


僕達三人は見たことの無い一軒家の縁側に座っていた。


僕の家なんだろう。


僕はとても『幸せ』だった。







この世に別れを告げるとずっと思っていたけど。


きっと僕はこの後、さっちゃんの待つ場所に




“逝く”



んだ。





単に死ぬ事じゃなくて、きっとそこが僕の…最期に停まる駅だ。




この世の締めくくりは予想外に辛く感じたけど、さっちゃんとみっちゃんと、向こうで暮らせるなら悪くないでしょ?


元同僚にみっちゃんの話をしたら


「餌をもらいに来たんじゃないの」


なんて言われたけど、みっちゃんが最期に僕に微笑み、そしてそっと手を置いたのは、それを教えたかったんじゃないのかと思う。



自殺したら自然死と違ってその場所に留まるって聞いた事があるし。



だから僕の心は落ち着いている。







…薬が………効いてきたかな……………………











光が見える……………………










あ!










…さっちゃん!


みっちゃんも!






迎えに…来てくれたの…








また会えて嬉しい…よ……。







…今度は……ずっと……一緒にいよう……ね。


大好き…だよ。

さっちゃん。