終着駅09『空振りの日々』

「私、里美の双子の妹なんですけど…彼女は昨日検査入院だったのがあまり結果が思わしくなくて、今まだ退院してないんです。今日お会いするのを楽しみにしていたみたいで、せめて携帯番号とメールアドレスだけでも教えていただければメールをしたいと…」


「あ、そ、そうですか。じゃあ…」


僕とさっちゃんの妹さんは赤外線で番号交換をした。


「病院なんでタイミングは限られますけど、メールはさせますので」


「あの、これ、彼女に渡してもらえませんか? 病院でも大丈夫だと思うんで…」


僕はさっちゃんに買ったお土産を渡した。


「ありがとうございます」


彼女の表情から、なんとなく病名は聞きにくかった。


ウキウキしてたから、なんだかその分やるせない気持ちになってしまった。


「帰ろっかな…みっちゃんもいないし」


2人? に会えなかった事によって切ない気持ちがこみ上げてきた。


会社も辞め、他にする事がない僕の寄りどころが見事に空振りしたからだ。


「さっちゃん…なんの病気なんだろ」


自分の病気そっちのけでそればかり考えていた。


そしてまた眠れないまま夜が明けた。



不思議なもので


“終わり”


が決まっていると、寝ている時間がもったいないと思うようになった。


きっと、意識を持って日常を過ごせる時間は2ヶ月よりかなり短いはずだ。


ちなみに、抗ガン剤はもうあまり意味がないらしい。


病院のベッドでわずかながら生き延びるよりは、僕はできる限り自然体でいたいと思っている。


尊厳を持って


“あの場所”


に行きたいから…。



うとうととしながら朝を迎えると、待望のメールが来ていた。


『妹から聞いたよ〜(*^_^*)チョコありがとう。昨日はごめんね。僚ちゃんとみっちゃんに会いたかったんだけど…ちょっと数値がよくないから、もうちょっと入院しなきゃいけないみたい』


…数値?


彼女はいったいなんの病にとりつかれているんだろう。


『昨日はみっちゃんもいなかったし、身体の方が大事だから気にしないで。次はいつ会えそう?』


『良かった〜怒ってなくて。ちょっとまだ退院の日がわかんないから、毎日メールするね』


退院の日が…わからない?


『うん、待ってる』


その日、彼女とのメールはそれで終わり。


だけど翌日、さっちゃんからメールが来ることはなかったんだ…。