終着駅01『死刑宣告』

「鹿島さん、非常に言いにくい事ですが…あなたの胃は癌に犯されています」


「ガン…!」


「ステージ靴覆里如弔なり進行の度合いは高いと言えます」


“それ”


がわかったのは、4月というのに真冬並の気温が関東を襲った、友人の誕生パーティーの日だった。


先週からあまりにも胃痛が続くので重い腰を上げたつもりだったが、随分と思わぬ展開を招いてしまった。


40にもなって身寄りが無い僕にカミングアウトせざるを得なかったドクターを責める気はない。


「手術と抗ガン治療で治癒する可能性も…」


続く気休めは、残念ながら耳には入らなかった。


40年の人生がついに終着駅にたどり着いたんだ。


ドクターの顔には安定感すら感じられ…宣告の重みは、どこかうわの空の僕の目に映る景観を、鉛のような色に彩っていた。


死刑を宣告される気分は、こんなに現実的では無いものだったのか…。



でも。







でもね。






僕は何も犯罪なんか犯してないんだよ…。







「ちょっと考えます」


僕はドクターを見る事が出来ず目線を外し立ち上がった。



ドタン!



自分勝手に診察室を出ると、廊下に出た瞬間、看護士さんにぶつかった。


そこそこ若くてショートカットの小柄な美人。


でも、倒れたのは僕だった。


「失礼しました、大丈夫ですか?」


そう言って僕を抱き起こそうとする彼女の…大津と書いてある胸元のプレートに目が行った。


僕は女性に弾き飛ばされた恥ずかしさを隠し、落ち着いたふりをして自力で立ち上がる。


「すいません、ちょっと動揺して…」



でも、吹っ飛ばされたのは僕の体力が癌によって無くなっていたと気付いたのは…その日の夜、眠れなくて1日の出来事を思い返していた時の事だった。




そう…もう絶望の時計は動き出していたんだ…。


何故だか僕は、病院を出てから数時間。


他人の目を見る気持ちになれなくなっていた。




自分の事しか考えられない数時間。


「こんな形で幕を下ろすのか」


「いい人生だったか?」


口に出していたのかどうかもわからない。


どこの道を歩いたのかも記憶に無い。



だけど、山のような自問自答を繰り返し、たどり着いたのは、友人・達也の誕生会の会場だった…。

 
  • コメント(全7件)
  • のぶぶ。≪多忙コメ無し。m(__)m≫ 
    2/9 06:54

    今回は重いストーリーで考えさせられそうです
    あといいね
    りがとうございました。ビックリw(゚o゚)wしました

  • みんみ[育成中] 
    2/9 09:40

    おはようございます

    もし自分が同じ立場になったら…と考えてしまいました。
    いいね!ありがとうございました
    ックリしまし
    嬉しいです

  • ゆらら‡皆様に感謝‡ 
    2/9 10:17

    私も 子宮癌になった時 こんな感じでしたね


    幸い 初期で 今は完治してますが…

    勿論 定期検診もしてます

    これ大


    今回は 中々重そうな テーマですが 頑張って下さい


    楽しみにしてまぁす

  • メロン 
    2/9 17:53

    こんばんは。
    いつも楽しく拝見していま


    終着駅
    いろいろ考えさせられる重いテーマ!?のストーリーですが
    人公のこの先が気になりま


    いいね
    りがとうございました!!スゴく嬉しかったです




  • さっち) 
    2/9 20:23

    おおっ

    どうな

  • ころ☆ころ★コロン 
    2/9 21:01

    わたし
    7年前に死にかけて

    家族が病院に呼ばれたコトが有りました(^_^;)


  • 瑠輝 
    2/10 02:35

    終着駅

    そそられるタイトルですね

    書頭に癌告知から入って

    これからの展開が楽しみです。
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