ジ・コントローラー〜司る者魁惱焉』

こちらに向けられた銃口に、恵さんは凍りついたように固まってしまった。


まあ無理もないね。


「小僧、あそこまで恥をかかせて無事に帰るつもりもないだろうが」


「その銃…本物かい?」


「ああ! カイムを作る時にヤクザから買ったもんだ!」


「いいねぇ!」


「な、何? 強がるなよ!」


「実はセミナー終了の時間が新聞広告に書いてあったからこの時間にヘルプを呼んでおいたんだ」


「なんだと?」


「呼んどいてなんだけど、面倒くさいやつでね。その銃で撃ち殺してくれると助かるんだ」


「バカな事を! 死ぬのはお前と…この女だけでいい!」


「!」


自分が尽くしたカイムの教祖に言われたその言葉…恵さんはショックを受けたに違いない。


「援軍などしらばっくれて追い返してやるわ」


「これでもかい?」


僕は


“援軍”


に繋がり続ける携帯を目の前に持ち上げた。


「通話中…チッ! いちいちカンに触る奴だ! じゃあ望み通りに撃ち殺してやるよ


「教祖! 大変です!」


「来たか! こっちへ通せ!」


「え! いいんですか?」


「構わん! こいつの仲間だろう! 早く呼んでこい!」


「ところで雁波、何故カイムを作ったんだ?」


「冥土のみやげに教えてやろう。霊能者の真似事で個人を相手にするより多人数を相手にしたほうが儲かるからだ!」


「だってさ、サスケちゃん。これ自白ね」


「なんだと?」


ガチャン!


横から来た


“僕の連れ”


こと天街楼署のサスケ刑事は無言で手錠をかけた。


「け、警察!」


「前田アキラ! 殺人未遂と銃刀法違反! 詐欺の罪で逮捕する!」


「そんな! 冤罪だ!」


「自白しといて何を言うか! 全部電話で聞かせてもらったぞ!」


「貴様さっきの…連れってのは警察の事かッ!」


「そう。この警察官、恋愛相談がウザいんで良かったら撃ってくれる?」


「いいから連行しろ!」


「チキショウ! 匠…いつか貴様を地獄に落としてやるぞ!」


「いつでも待ってるよ」


「匠、それでどうすればいいんだ?」


「まあ全館調べりゃ罪の元だらけだよサスケちゃん。家宅捜索必須でしょ」


「彼女はどうする?」


「連れて帰るさ…ってアレ? いない?」


恵さんの姿が…見えないぞ…。