ジ・コントローラー〜司る者『暗示』

「ソーマエネルギーって霊的なものですよね? するとそのお茶を飲むとトランス状態になるっていう事ですか?」


「そんな事ないですよ、リラックスしていただくためのものです(ニッコリ)」


「リラックスは自分なりにしてるんですけど…今部屋に入ってくる時ガム噛み始めたから」


「でもお茶を飲んでいただくのがしきたりですから」


そうきたか。


「じゃあガム噛み終わったら飲みますね。これ、亡くなった親友が最後にお土産でくれたガムなんで無駄にしたくないんです」


「じゃあその後で。とりあえず、私の言うとおりにしてくださいね」


フフ…ガムを噛み終わるまでの時間を稼ぐ事に成功したよ。
こう言ってガムをすぐ出せっていう人、なかなかいないでしょ。


「まず…目をつぶって三年後のあなたを思い浮かべてください。何が見えますか?」


「…三年後の僕が見えますねぇ」


「それはソーマエネルギーに満ち溢れたあなたですよ」


どうみても普通の僕だよ馬鹿らしい。


「フフ…そうかもね…っと」


パンッ…パンッ…パンッ


「匠さん、どうしたんですか? 脚で机を叩いて」


「癖なんです。気にしないで続けて」


僕は、机を規則的に低音になるよう叩き始めた。


「次に二年後のあなたを思い浮かべてください」


パンッ…パンッ…


「見えますねぇ…僕が。ところで…」


パンッ…パンッ…


「遠金さんはどうしてカイムに入る気になったんですか?」


「私の事はいいですよ…」

パンッ…パンッ…


「でも僕、教えてくれる人の事をよく知らないとやる気が起きないんですよ」


僕が恵さんを説得する時に肯定から入ったように、彼らもまた僕を説得するには肯定せざるをえない。


説得の基本だからね。


逸脱しない限り彼女は僕の言う事もきかなくてはならない訳だ。


「私は…」


「せっかくだから目をつぶってゆっくり考えてくださいよ」


パンッ…パンッ…


「付き合っていた男性から逃げられなくて…カイムに逃げ込んだんですよ…教祖の雁波様が私の事をピタッと言い当てて…ソーマエネルギーの高い人は凄いって…」


女性は基本的に自分を言い当てられるのに弱いからね。


「実は僕も…あなたの事がわかるんですよ」


「…え!?」


実は既に彼女は僕の術中におちている。


僕は彼女を

“コントロール”

する事にした。