ジ・コントローラー〜司る者『幹部vsコントローラー』

「何事だね」


「あ、真矢峰幹部! この匠っていう人が欠点は無いって言い張るんです!」


「んー…?」


レオンでも読んでいるであろう不精ヒゲの幹部はこちらをいぶかしげに見ている。


「まあ…欠点が無いと思っているなら仕方ないじゃないか。いちいち声を荒立てるな。修行が足りないぞ」


「す、すみません…」


「とりあえずあちらの方は特別カリキュラムの方に入ってもらいなさい」


「は…はい、じゃあ誰か案内を…」


「あ、じゃあ私本当は第三段階なんで、私も抜けてご案内しますね」


成り行きを動揺しながら見守っていた恵さんがようやく自分の役割を見いだしたようだ。


僕は廊下を実に注意深く観察しながら案内人の心に再び手を伸ばしてみた。


「彼、酷いねぇ。無理やり欠点を言えなんてさあ」


「あれはあの人が酷いと思います。匠さんは悪い部分が浮かばなかっただけなのにソーマエネルギーが必要無いなんて…」


多少ピントはボケているものの、中立的観点が残っているのはいい材料だ。


「そうだね。あの人は足りてるのかな?」


「え…私にはわからないです…。あ、特別カリキュラムのお部屋、ここです」


「ありがとう」


「特別カリキュラムは1人で受けるので、私はまた後で…」


正直ここでカイム側にまた接触されるのはよろしくは無い。

しかし、洗脳が溶けていない段階では無理やり連れて行ってもまた戻るだけだ。


「じゃあ郷に従ってみるかな。あ、恵さん、このガム美味しいからあげるね」


「ありがとうございます」


「さあて何がでるかな」


部屋の扉を開けると、女教師のような雰囲気のメガネをかけた女性がにっこりと微笑んだ。


「私、準幹部の遠金です。匠さんですね」


僕も負けじと微笑み返す。


「そうですよ」


部屋の中は暗く、机と、差し向かいの椅子が2つだけ。

まるで取調室のような雰囲気だ。


マインドコントロールをする時は視覚と聴覚に代表される五感を封じると効果が高い


それを狙った効果がミエミエだね。


「カイム茶をどうぞ」


特別カリキュラムはおそらく簡単に洗脳出来ないタイプの人間を1対1のダイアードで説得するためのもの。


とすれば、このお茶には意識をぼやかす向精神薬が入っているはずだ。


「このお茶はソーマエネルギーを高めるものなんですよ、さあ飲んでください(ニッコリ)」