ジ・コントローラー〜司る者『矛盾の駆け引き』

「特に思い当たる欠点はないねぇ」


「ふざけないでください!」


リーダーはくってかかってきた。


「だって本当にそう思うんだから仕方ないでしょう」


「これはカリキュラムの一環なんですよ! 早く言ってください!」


「んー…無い場合はどうするの?」


「ではその自信過剰なところが欠点でしょう!」


「どうして?」


「どうしてって…自信過剰は良くないからですよ!」


「君、今上質世界を作るために頑張ってるって思ってる?」


「もちろん!」


「その気持ちと同じように、僕も自分のしている事を信じていて、欠点は見当たらないと思ってるのがいけないのかい?」



これは、彼に投げかけた


“罠”


だった。


彼がもしも頑張っていると思うならば、自分に疑いが無い訳で…欠点が無いと自分を疑わない僕の心と全く質が同じ物だ。


つまりどちらも


“信念”


ね。


どちらも同じなら他人の方を否定できないでしょ?


矛盾になっちゃうから。


もしも質問に


「頑張って無い」


と答えたら?


フフ…運営側がそう答えられる訳ないじゃないか



「とにかく欠点を言ってください! 言わないとこのカリキュラムを消化できないですよ! ソーマエネルギーが溜められなくなります!」


「変だなあ…」


「何がですか!」


「だってそれじゃあ嘘をついてでも欠点を言わないとソーマエネルギーが溜められないって事だよねぇ…」


「くっ…そうじゃなくてあなたの姿勢に問題があると言ってるんですよ!」


「本当の事を言ってるのに?」


「もう…じゃあ欠点が無いなら幸せでしょうからソーマエネルギーも必要ないでしょう!」


「それも変だなあ」


「何がですか!」


「だってさっきここに来たら運営側の人に『あなたソーマエネルギーが足りないわね』って言われたよ?」


人がどんな性格かはある程度外見で判断できる。


整えられた髪、おとなしい、それでいて小綺麗な服と一見爽やかな感じがいい丁寧なマニュアル口調。

彼は極めて脱線に弱い真面目タイプだ。


脱線する程論理性がなくなり、ともすれば乱暴に社会論から各論になっていく。


皆の前で矛盾を生み出すには絶好のカモだった。


「クソっいいかげんにしろ!」

と、扉が開く。

「いったいなんの騒ぎです!」


「フフ…中ボス登場ってところかな」