ジ・コントローラー〜司る者А愎汎發海重─

「ついたよ」


教団のセミナーが行われる場所は、ホールと宿舎が一体化した建物だった。


「まずはどうす…」


「恵!」


中からは熟女女優のような厚化粧の妙齢の女性が彼女の名前を呼びながら出てきた。

きっと、話にあった彼女の叔母さんなんだろう。


「唯子叔母さん、こちら匠さん」


「はじめまして、匠です」


「あらはじめまして。恵の叔母です。あなたもソーマエネルギーが足りない感じねぇ…さ、案内するわね」


「フフ…最初から足りてる人…いるんですか?」


「え!? い、いや…まああんまりいないわねぇ」


「え? 叔母さん私だけが足りないって…」


「あら嫌だ、あんたは特別足りないって意味よ」


ボロが出始めた。


相手の様子を伺うには、その人が予想もつかないような(かといって外れすぎないような)質問をぶつけてみるといい。


特にこの手の嘘で塗り固めた事例なら、前もって言葉を用意している場合がほとんどで、そのレールから外れた場合は必ずほつれが生じる筈だ。


僕は歩きながら、さらに一手を進めた。


「叔母さんは、ソーマエネルギーが足りないから恵さんをカイムに入れたんですよね?」


「そうよ。この子が可哀想でねぇ」


「という事は…さっきもそうだったけど、叔母さんは、ソーマエネルギーが満ちてるかどうかわかるんですね。教祖しかわからないんだと思ってました」


「え? …それはこの子がこんなについてないのはソーマエネルギーが足りないに違いないからよ!」


「僕は?」


「あなたも悩みがあるから来たんでしょ?」


おいおい、それはエネルギーは関係ない、只のプロファイリングじゃないか。


「フフ…そうですね」


それにしてもこの叔母さん、なかなかのダイヤモンドをつけている。

洋服は事務的な物だけど、化粧品や香水も随分と値段が高い品だね。


「叔母さんはご結婚されているんですか?」


「いやあ〜私は結局未婚なのよね。この子にはその分幸せになってもらいたいからカイムに入れたのよ」


「へぇ…そうですか」


「ここよ、入って」


僕と恵さんは、10畳程の暗い部屋に入れられた。


「匠さん、初めてで心細いと思いますから今日は私も第一段階のセミナーから受けますね」


「…ありがと」


部屋にいる15人くらいの信者が一斉に僕をジロリと見る。

「さて…来るならいらっしゃい」