ジ・コントローラー〜司る者『カイム聖水』

マンションの部屋前についた僕達は、チャイムを鳴らしてみた。


「はい?」

インターホンに向かって僕は…

「やあ恵さん、鼎さんのお友達なんですが、カイム新教に興味があるもので良かったらお話を聞かせてもらえないかと思ってやってきました」


「…え?」


インターホン越しに戸惑いが伺える。


「ちょっと先生! そんないきなり!」


「さっき電話した時はおそらく揉めていたようだからさ、是が非でもこちらに注意を向けないと出てきてすらもらえないだろ? 今の声は鼎さんじゃなかったし、じゃあ恵さんの関心を向けようって事だよ…」


ガチャリ。


不思議そうにこちらを見る恵さんが口を開く。

黒髪で線が細くて目が大きな和風美人だ。


「…どなたなんですか?」


「どうだい田邊君」


「…全く先生のやり方には毎回驚きますよ…」


「はじめまして匠です。鼎さんは?」


「部屋にこもってます」


僕達は中に入れてもらい、鼎さんの部屋をノックしてみた。


「匠ですよ〜入れてもらえないかなあ」


「匠さん!」


ドアを開けるなり抱きつかれ僕の目尻は下がったけど…隣のムッとしたアシスタントの顔を見て無理やりつりあげてみた。


「何があったんだい?」


「前から恵が飲めってくれていたカイム聖水を飲まずに部屋に置いてあったのがバレちゃって、飲めって…拒否してたら揉み合いになったんです。チャイムが鳴って恵がインターホンに気を取られてるスキに部屋に走って逃げたんですよ…」


「カイム聖水?」


「いくつか種類があるみたいですけど…恵は一本三万円もするタイプの物を買っているみたいです」


「それ、あるなら見せてくれる?」


カイム聖水とやらは小さなプラスチックのボトルに入っていた。


「これで三万円は高いですね先生」


「宗教の値段の付け方はいい加減だからね。最終的に財産を奪えればいいんだ」


「どうしてですか?」


「財産がなかったらその宗教のコミュニティーにいるしか選択肢が無いから。つまり逃げられないでしょ」


開けて匂いを嗅いでみる。


「先生、なんか臭いです」


「クンクン…うん?」


「何の匂いですかね…かいだ事があるようなないような…」


「どっちでもいいけど舐めたりしない方が良さそうだよ」


「なんでですか?」


「だってこれ、多分教祖の精液だから」


「ええっ!」