ジ・コントローラー〜司る者◆惱亢个ら出動へ』

「一緒に住むくらい仲のいい友達がどうしてあなたを殺すんですか?」

“殺そうとする”

ではなく

“殺す”


と表現したのは、より断定的で強い言葉を使って彼女が感じている殺意の強さを確かめたかったからだ。

彼女はその言葉で目線が泳ぎ、沈んだ。

これは友達から殺されるという問題が強い形で彼女の心に投影されていると考えられる。


つまり?


少なくとも僕に対してのその場の虚言ではないという事だ。


「恵…新興宗教のカイム新教に入ってるんです」


「…それで彼女はあなたに勧誘するけどあなたは否定的で…最近は壁ができちゃった?」


「…はい」


「そうしたら恵さんはあなたに対して攻撃的になったんだね?」


「! なんでそんなにわかるんですか?」


「まず新興宗教にかぶれた人間の身内絡みで一番問題が起こるのが

“勧誘”

に対して。ちょっとした統計学だよ。それが最初に出てきたなら、問題の方向性はおのずとパターンが決まってくるから。でもおかしいな」


「何がですか?」


「身内絡みの宗教の勧誘は基本的にその人を“幸せ”にするための目的が一般的で…殺すんじゃ逆効果だから」


「そもそもその宗教がやらせる修業みたいなものがかなり厳しいものみたいなんです…」


「オッケー! じゃあその宗教にはアシスタントに調べさせておくから…明日君の家に行ってもいいかな? まずは恵さんと会ってみたいね」


「じゃあ、住所書いていきます。西荻窪の駅まできたら迎えに行きますから」


「了解。あと…」

「はい?」

「君の名前も教えてもらえると助かるんだけど」
「あ、すみません、鼎美里です」


強固な団結力を誇る新興宗教でよく行われるのは


“洗脳”


だ。


これによって強力に人を支配するケースは、日本でも世界でも日々日常的に見られている。


どのレベルの洗脳なのかは見てみないと対策が練れないしね。



――翌日。




僕はアシスタントの田邊君を連れ、日暮れ時の西荻窪に降り立った。


「ついたら電話かけるんだっけ……もしもし?」

「あ、匠さん? す、すみません、恵が今暴れて…私部屋にこもっているんです! キャー!」


「…もしもし? わかった、じゃあ今から行くからね」


「先生、どうされたんですか?」


「んー…なんだか嫌な予感がするなあ。急ごうか田邊君!」