ジ・コントローラー〜司る者 愡呂泙蠅脇輿海法

「匠さん、入ります!」


「君が青山君の紹介の人? はじめまして、僕が匠條史郎です。…! あなたは…」


「何?」


「フフ…失礼。知人に似ていたもので。その人、ミスユニバースの日本代表に選ばれて…とても美しかったんですよ」


「そんな…」


“真綿で首を絞める”


という言葉がある。


苦しみ方を表現する言葉の一つだが、僕流に言えば他人の心を動かす方法の一つでもある。


直接的ではなく、ジワリジワリと相手の心を包囲していき、僕の言っている言葉に注意を向けさせるのだ。


「あなたは…」


でのストップも極意の一つだ。


まず次の言葉が気になるよね?


それに僕は彼女を見て軽く驚いて見せた。


人が目の前で自分を見て驚く時程、何が原因なのか気になる事態はないんだ。


既に彼女は術中にはまっていた。


場末に見えるこのホストクラブ。



でも満員で外には行列が出きている。


ほとんど僕のお客様なんだよ。


僕がたまに出勤する時はいつもこう。


どうしてかって?



フフ…それは僕が人を操る


“コントローラー”


だからさ。





「さてでは…あなたは何か…悩んでいますね?」


「…なんでわかるの?」


「表情に曇りが見られるから」


だが実はこれは嘘だ。



悩みなんて大人ならば誰でもあるよ。

この台詞を投げかけた理由は



“狃が悩みを告白する事で会話がスムーズに進む。

接客業で

「仕事は?」

「年齢は?」

なんていちいち質問しながら先に進もうとする人間は二流だ。

スムーズに相手から会話させないとね。



無いと言われたら?


「それは自分が気づいていない潜在的なものですよ」

と答えるさ。

この魔法の言葉についてはいずれ触れる事にするよ。


悩みという情報共有をする事は心の壁を取り払う事になる。

手っ取り早く壁を取っ払いたかったんでね。

悩みを言ってくれない場合?


遠回りに彼女が相談できるように壁を乗り越えるだけだよ。


これが一番大きな理由なんだけど、悩みという物事を解決してあげた時くらいヒーローに見える時はそうそう無い。

僕は彼女に好かれる簡単な方法を実行した訳だ。



「私…一緒住んでる友達に殺されるかもしれないの」


「…それは本当?」


こいつは…面倒くさい相談だね…。