かおりちゃん・中編

僕はきっと、ふられたんだ。



今思えば告白してから、僕を見てくれなくなった気がしていた。


あの笑顔すらも見られなくなってしまった。



彼女との距離を、僕は壊してしまったんだ…。



僕は、とんでもないことをした!




だけど。





いくらなんだって代わりを紹介してくれなくったっていい。




そんなにすぐ次の娘と付き合いたくも仲良くなりたくもない。


しかも彼女の友達と?



最後のプライドで、それだけはかおりちゃんに言いたかった。



告白から3日目…今度は一人で帰ろうとするかおりちゃんを捕まえて、こう言った。


「かおりちゃん、いくらなんでも酷いんじゃないか? 僕と付き合いたくないのはわかるよ。でもさ、代わりを押し付けるなんてあんまりだよ!僕は物じゃない…」



でも…言いたい事を全部言い終わったところで、彼女の表情に気がついた。


げっそりと痩せた顔の頬には、涙がつたっていた。




「違…う…よ」




それは、人生で一度も聞いた事もないような…魂を絞り出すような、儚くて悲しげな声だった。


「な…何が」


「あたし…乳ガンなの」

「えっ…」


「先月…人間ドッグで…あと2ヶ月だって」


「!」



「だから…あたし…気持ちに応えられな…代わりに…せめて友達と…って…」


「そんな…」



何も言えない僕の手を振り払い、彼女は走っていった。




その時を最後に僕の大好きだった大きな瞳と茶色いロングヘアを、見ることは二度となかった。




2ヶ月後、僕は上司から、彼女が亡くなった事を聞いた。





誰にも闘病姿を見られたくなかったと言っていたとも。






勿論彼女の友達とは連絡をとらなかった。







そして…僕の元にさっき届いた手紙。







それは、かおりちゃんからだった。