哀唄ァ悗茲蠖爾、より危険に、より不可解に』

「これ…髪の毛かよ…」

手に取った髪の毛には、生々しい毛根がへばりついていた。

「なん…なんだよ…」



一体どういうつもりなのか。



自分の身体の一部としては髪の毛は比較的切り離し安いが…それ以外は彼女の気持ちがてんで想像できない。

「どう考えても…アイツ変だよな…」

歯を磨きながら貴美が髪の毛を抜いてるところを想像していたら、吐きそうになっちまった。

おかげで学校もサボ…休んじまった(笑)。

夕方になると、あても無く家を出た。

部屋にいたら貴美の髪の毛の事が頭から離れなくて…髪の毛?


もちろん置いてきたよ。


なんだか気の晴れなかった俺は、夕方、マッサージで鋭気を養うというナイスアイデアを思いついた。

「では60分コースで」

「ああハイハイ、よろしくお願いします」

作務衣のような和風の着物に着替え、穴のあいている簡易ベッドにうつ伏せになると、小柄な若い女の子が背中を押す。

うおっ!

恐るべき力…こ…これは…外見からはとても…

「力弱かったら言ってくださいね」

「い…いやむしろ…」

ピリリリリ!

ん?サイレントにしてなかったか。

「お客様、電話が鳴っていますよ」

「ああ、マッサージ中だし、うるさくて申し訳ないけど鳴り止むまでほっといてください」

「わかりました」

ところが。


ピリリリリ! ピリリリリ! ピリリリリ!


一度切れてもすぐかけ直してくる。

“あの電話”

だ。

サイレントマナーにしていないと、ちょっとトラウマになりそうだ…。

たまりかねた俺は、携帯を取り画面も確認しないまま不機嫌な声で電話をとった。

「もしもし…」

「良一、今日は何時に帰ってくるの?」

“帰ってくる”

だって?

「髪の毛の御守り、置いていっちゃうなんて酷いじゃない!」

なんでわかるんだ!


まさか…


「い、今どこ…? またマンションのエントランス…とか…?」

「ううん、今良一の部屋に帰ってきたところ」

「か、鍵あいてた!?」

「今朝良一が寝ている間に合い鍵作ってきたの!」

「……え……!?」