モッタイナイ

先日、奥多摩町日原(ニッパラ)での釣りの話をしたが、
・・・もう10年位前だろうか。その日は日原川の源流を極めようと
朝3時に小平の自宅を出た。
まだビリ釣りはやってないビンビンの元気いっぱいの頃だった。
日原の集落を超え林道最終地点に車を置き、そこから入渓する予定だった。
朝4時30分ごろ日原の集落をすぎてすぐ、道路前方になにか
黒い小山があるではないか。何・・・・?
僕は車をゆっくりと近づけた・・・
2、3m手前でそいつの正体がわかった。
それは何と鹿だったのだ。
角が生え立派な体格をした雄だった。横たわっている。死んでいる?
いや、まだ息をしている。断末魔のそれだ。
道路の反対側が険しい崖になっている。
きっと崖から落ちたのに違いない。
僕はそこに佇んだ。・・・かわいそうに、もう終わりだな。
体がぴくぴく動く。
ここから800m位引き返せば駐在所がある。
駐在所に通報しようか?しばし考えた。

その時僕の胸に去来したのは、あろうことか、
モッタイナイ・・・

僕はかわいそう、という感情とモッタイナイという気持ちは正反対
である・・・そう思った。しかし恐ろしいことに、モッタイナイという気持ちがだんだん大きくなる自分に気付いた。

僕は後ろ髪をひかれる思いでその場を去った。

帰りにその場所を通った。
痕跡をかすかに残しただけで跡形もなく片付けられていた。

あの鹿はどうなったんだろう。
きっと発見した村人たちもモッタイナイという気持ちで全員一致したと思う・・・

このように山にいくとエピソードがいっぱいあります。
また次回に!